高い理想が自分を追い詰めていった

兒玉遥
HKT時代の兒玉さん

── デビュー曲でセンターポジションに抜擢されるなんてすごいことです。でも、プレッシャーもありそうですね。

 

兒玉さん:センターポジションに抜擢されて、うれしい気持ちよりも歌やダンスに自信がなく、堂々とできないという気持ちが大きかったですね。みんなに認めてもらうために誰よりもダンスの練習をしました。

 

それでも自分には何かたりないという感覚のほうが強く、グループのためにもっと力をつけたい、先輩の指原莉乃さんのようにトークやファンへの気配り、ライブの盛り上げ方ももっと上手くなりたいと。頑張らないと周りや理想に追いつけないという気持ちが積み重なり、自分をだんだん追い詰めていくようになりました。

 

── 徐々に心身に不調を感じるようになっていったそうですね。

 

兒玉さん:最初はいろいろなことを考えすぎて、眠れない日が続きました。そのうち寝不足からかダンスの覚えが悪くなり、忘れ物が増えるように。太ったらダメだと思って、無理な食事制限もしていました。そのうち情緒不安定になってしまい、握手会を無断欠席したり、イベントの直前で泣き出したりするようになり、周りも様子がおかしいと気づいたようです。

 

事務所の方と母に連れられて病院に行き、うつ状態と躁状態を繰り返す、双極性障害と診断されました。それで仕事をセーブしながらしばらくは続けていたのですが、悪化してしまい、結局ドクターストップがかかって活動を休止することにしたんです。寝られない日が続くなど、初期の症状が現れている段階で病院に行けば本当はよかったのですが、私の場合は行くのが遅すぎました。すでに脳も心も限界を迎えていたようです。

 

当時は双極性障害を公表する芸能人はまだ少なく、活動休止の理由を「体調不良」と発表したので、ファンの方にはモヤモヤした気持ちにさせてしまうことになりました。今振り返ると、本当に申し訳なかったなと思います。