茅葺き職人を目指していた矢先に、仕事中に屋根から落下する事故で脊髄を損傷し、下半身まひとなった渋谷真子さん。車いすでのリアルな生活や、国内外へ出かけて体験したことをYouTubeで発信しています。渋谷さんがこれからチャレンジしたいこととは── 。(全3回中の3回)
「車いすではできないこと」を消していきたい

── 茅葺き職人のお父さまの跡を継ごうと見習いを始めた矢先に屋根から落下し、脊髄を損傷して車いすの生活になった渋谷さん。旅行やレジャーなど、いろいろなことにチャレンジし、その体験をYoutubeで発信されています。
渋谷さん:車いすの生活になると、「何もできなくなってしまうのかな」という感覚になりがちです。だから「できないこと」を消していきたくて、いろいろなところへ行って、いろんなことをやって、その体験をYouTubeで配信しています。健常者だったころより、車いすになってからのほうがアクティブですね。
── 発信することが、モチベーションになっているのですね。
渋谷さん:「当事者がもっと楽しめるように」という思いがベースにあるんです。おでかけ先でトイレがきちんとある環境なのか、量的に充実していてゆっくり時間をかかけてトイレを利用できるのかどうかという、障害者にとってとても大きな「トイレ問題」の情報はもちろんのこと、そもそもホテルも観光地も、車いすでも行けるのか、歩けなくてもできるのかがわからないし、調べるのも難しい。だから出かけなくなってしまうんです。
でも私が実際に行って体験して、「ここならできました」「こうしたら泊まれました」と発信すれば、まねをしてもらえて、外へ出て行くきっかけになるかもしれない。
受け入れてくれる側の施設などにも、「こうすれば受け入れられる」「そんなに大変ではないかもしれない」と思ってもらえるように意識しています。車いすユーザーを受け入れたくても、「どうすればいいかわからない」「何かあったら心配」という理由で受け入れられずにいる施設は多いと思うので、当事者が「こうすれば大丈夫」と伝えることが大事だと思います。