「おかえりなさい」という言葉に胸がいっぱいに

── 2024年12月に抗がん剤の投与が終わって、いまは定期的に検査に通っているのですか?
市川さん:はい。3か月に1回のペースで血液検査やCTスキャン、造影検査などを行っています。髪の毛は少し伸びてきましたし、抗がん剤の副作用もかなり減ったのですが、いまだに手足のしびれが残っています。でも、それは仕方ないことなので、このしびれがなくなったときが、自分の体から抗がん剤がすべて抜けきったときなんだ、と楽しみに待つことにします。
── 今年に入ってから仕事に復帰されました。
市川さん:復帰までにはもっと時間がかかると思っていたので「早かった」という気持ちと、「やっと…」という気持ちが入り混じっていました。昨年末から新曲の準備を始めたのですが、作詞家、作曲家の先生方が会って曲を書きたいと言ってくださったので、実際にお会いしながら私の意見も反映してもらい、新曲『朧(おぼろ)』ができました。1月からレコーディングが始まり、自分が戻りたかった場所に戻れるんだ、という実感がじわじわとわいてきました。
── 復帰されたとき、周囲からはどんな声かけがありましたか?
市川さん:復帰のお知らせのためにレコード会社のキングレコードに伺った際、社長やスタッフのみなさんが「おかえりなさい」と言ってくれました。「おかえりなさい」って、子どものころから今まで何千回も聞いている言葉のはずなのですが、こんなに温かくてやさしい言葉だったんだ、と改めて感じました。胸がいっぱいになり「ただいま」と言うのがやっとでした。