入院生活の楽しみ「食べる力は生きる力だ」

── つらい話が続いてしまいましたが、ブログを拝見すると、入院中の差し入れ弁当が楽しみだったとか。
小澤さん:はい。抗がん剤投与中はステロイドも投与するので、その影響で食欲が増す日もあるんです。もちろん吐き気が強くて食べられない時期もありますが、体調がいいときは食べたいものを夫にリクエストして買ってきてもらいました。白血病は塩分やカロリーによる食事制限がなく、手作り料理と生もの、発酵食品はNGだったのですが、お店で衛生的に調理されたものなら何を食べてもOKでした。なので牛丼やハンバーガー、ラーメンなど、味が濃いものもときどき食べていました。入院後期は血液の数値も安定に向かっていたので院内のコンビニに行くことができ、スイーツを買うのが楽しみでした。時間もあり余っていたので配信ドラマを見たり、病院の敷地を歩きまわって体力維持に努めたりしました。
── 順調に体力が回復されたのですね。
小澤さん:「食べる力は生きる力だ」という意識が強く、入院中は必死で食べることを意識しました。気分が悪くて食べられないときも、フルーツだけ、ゼリーだけ、飲み物だけでも自分の口から入れるようにしていました。食べないとやせていってしまうし、治療に向かう気力も湧かなくなっちゃうんですよね。そうすると、強い抗がん剤に体が耐えられなくなってしまうと感じました。だからできるだけ食べて体重をキープし、体力をつけよう思って、食事をしていました。食べられない日が続いても点滴で栄養を摂取することもできると看護師さんに言われましたが、口から栄養補給することにこだわりました。
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「なんで私が病気になってしまったんだろう」と考えた小澤さんは、フリーアナウンサーという職業を生かし、闘病中の体験をブログで発信しながら、退院後は講演会などで話すことを決意します。背景には、罹患当時は急性リンパ性白血病についてネガティブな情報しか見つからず、落ち込んだ経験があります。「私のような治療パターンがあることも知ってほしい。誰かの希望の光になるために絶対復活するんだ」。そんな強い気持ちが、治療中も自信を鼓舞することにつながっていたそうです。
取材・文/富田夏子 写真提供/小澤由実