母と弟と絶縁して20年が経った

── どういうことでしょうか?
坂本ちゃん:たしかに『電波少年』が終わってしばらくは仕事も潤ってはいたんです。でも、芸人として引き出しがないまま一気にテレビに出てしまったので、番組の収録が終わった後にスタッフさんにダメ出しされるし、自分でもやっていることに自信がないし、毎日不安を抱えたまま家に帰っていました。それでも仕事がたくさん入ってきたので焦りばかり募っていて。
そんな状況でしたが、仕事から帰ってくると留守番電話のボタンが点滅しているんです。聞くと、母のか細い声で生活が「今この状態だから、お金がたりなくて…」と入っていて。キツかったですね…。
お金を一度振り込んでも、時間が経つとまた留守番電話に母や弟からお金を無心する声が入っていました。母も弟も消費者金融でお金を借りていたようでしたが、返済しても一度借りてしまうと辞められないんでしょうね。結局、自分たちでは返済ができなくなって、また私にお金の無心をしてくるんです。キリがないので、当時のマネージャーさんに相談し、話し合いの場を設けることになりました。弟が東京に来て話しをしましたが、どうしようもない額の借金になっていると言われて。そのころは私も蓄えがあったので、家族を助けるためだと思って1000万円だったかな、一括で家族にお金を出しました。
── かなりの高額ですが、そこまでひっぱくした状態だったと。
坂本ちゃん:そうなんでしょうね。あと、自分も仕事で不安を抱えていたので、不安になるものはひとつでも減らしたいと思っていたんです。弟にどうしてそんなに借金ができたのかも聞かなかったし、聞いて現実を受け止める余力もなかったので、お金で解決するならって思っちゃったんですね。もうこれで終わりにしたいなと。
── 1000万円を一括で渡した後は、お金の無心は終わったのでしょうか?
坂本ちゃん:いえ。渡した後に、すぐにお金を無心してきました。母や弟にとって、私は頼めばお金を出してくれるだろうって思っていたのかな。自分たちで汗水垂らして働いたお金じゃないからていねいにお金を扱わなかったんだろうし、借金癖もついてるから、お金を借りることに抵抗感がなくなっていったのかもしれません。
お金って人を変えると思います。私は自分がぜいたくをする前に家族にお金を渡してしまいましたが、もしあのままお金を持っていたらどう変わっていたか、わかりません。
── 再び催促がはじまって、しばらくはお金を渡していたんですか?
坂本ちゃん:数年くらいはまたお金を渡していましたね。でも仕事がどんどん減ってきて、自分が住んでいる部屋も、さらに家賃の安いところに引っ越さないといけなくなったときに、もう家族と距離を置かないとダメだと思いました。いくら血のつながりのある家族でも、まずは自分の生活を守らなきゃと思ったんです。そこから絶縁して20年になりますが、母や弟とはいっさい連絡をとっていません。
私は何げに人がいいので、もし何かのタイミングで連絡してしまうと、またお金を渡してしまいそうだったので、完全にシャットアウトしたんです。