「いじり」と「いじめ」の境界線を間違える人に

── 中学受験されて、小学校のいじめっこからは離れられたのでしょうか?
上田さん:無事受験に合格したため、中学校は知らない人ばかりの新しい環境になり、心機一転、とても楽しい学校生活でした。中学、高校、大学とエスカレーター式だったのですが、高校に入ると今度は入部した剣道部でまたいろいろとありましたね。
ものすごくいじめられていたというわけではないのですが、「いじめ」と「いじり」の境界線を間違っている人が多かったように思います。よくない縦社会のようなものがあり、痛がる、服を破る、弁当箱をひっくり返すのがおもしろいと思っている、みたいな。合宿では指導に来た卒業生が、夜中に部員を突然叩き起こして説教をするというイヤなノリもありました。
父が僕の通う高校の野球部で監督をしていて、悪さをする生徒は普段から父が叱っていました。それだからか、「あの怖い、目の上のたんこぶの監督の息子」ということで、僕が目をつけられたというのは少なからずあったようです。
── それに対してはどう対応したのでしょうか?
上田さん:やった人、やられたことなどを忘れないように、ノートにすべて書き留めるようにしました。あとは自分を防御するためにやりとりを録音したこともあります。告げ口をするのもしょっちゅうです。告げ口ってダサい、怖いと思うかもしれませんが、あえておおごとにすることで僕は相手を追い出すようにしました。パワハラのようなことをするOBは、先生や保護者などに言いまくりました。
部活仲間同士は基本的には普段は仲がいいのですが、足をつかんで階段をずりずり引きずるなど、痛いのがおもしろいと思ってやるなど調子にのっていることもあったと思います。
── ちなみにそのノート、今はどうされたのでしょうか?
上田さん:捨ててしまいました。高校卒業後に何度か見返していたのですが、読めば読むほど記憶に定着されて気分が悪くなるだけだなと。これを読んでも意味がないし、自分が不愉快な気持ちになるだけなので精神的によくないと思い、大学に進学して比較的すぐのころに処分しました。