12年ぶりの父との再会で初めて感じた気持ち

Yuna
赤ワインを片手にリラックスするYunaさん

── そうなのですね。実際に会ってみて、どんな印象を受けましたか?

 

Yunaさん:父はすごく喜んでくれましたね。12年ぶりの再会でしたが、気まずさや照れくささはなくて、会った瞬間から自然に話すことができました。「お母さんのほかにパートナーは何人いるの?」「ほかの子どもたちってどんな感じ?」と、気になることは全部聞いて。父も言葉を濁すことなく、異母兄弟たちのこともすべて教えてくれて、私は「へえ、そうなんだ」と思いながら、楽しく会話していたんです。そんなやりとりのなかで、「私の本質を理解してくれる相手に初めて出会えたかもしれない」と感じる瞬間がありました。

 

── どんなやりとりだったのでしょう?

 

Yunaさん:「今、仕事は何をしてるんだ?」と父に聞かれて、「大学に通いながらレストランでアルバイトをしてるよ」と答えました。母方の親族には「もっと格式のあるところで働きなさい」と言われることが多く、肩書や見栄を張る価値観に抵抗感がありました。

 

でも父は違いました。「Yunaは、いずれ人の上に立つ人間になる器がある。だから今のバイト先でも、マネージャーがどう動いているかを観察し、マネジメントやお金の流れを意識して働きなさい。すべてが学びになるから」と言ってくれたんです。

 

それは、私がいつも意識していることそのものでした。父にそれを言い当てられた瞬間、「私が何を目指して、どんな思いで働いているか、全部わかっているんだな」と感じて。初めて私の本質を理解してくれる人に出会えた。それがすごくうれしかったんですね。

 

── お父さんは、ビジネスで成功していらっしゃる方だとか。

 

Yunaさん:はい。ホテルや飲食など、中国で幅広くビジネスを展開している実業家です。経営一家の出身ですが、たたき上げで事業を築いてきたので、たくましい経営哲学を持っているんです。父自身も私にシンパシーを感じたようで、いろんな話をしてくれました。親子というより、「歳の離れた同志」のような感覚でしたね。