ほかの異母兄弟とも無理なく向き合えたら

── そこから再び交流が始まったのですね。

 

Yunaさん:再び中国に会いに行ったのは、ちょうど父の日でした。それまで父の日を祝ったことがなかったので、なにか贈り物をしたいと思って、プレゼントを用意して、手紙も書いたんです。

 

そのときは、父に対して、愛情といえるような感情があるのか、自分でもよくわかりませんでした。ただ、「お父さんにとって誇りに思える娘になりたい」という気持ちが芽生え始めていて、その思いを伝えたかったんです。

 

帰国する日の空港で手紙を渡したら、父がメガネを外し、強面の顔をゆがませて泣いていました。その姿を見たときに、心の奥底にしまっていた過去のわだかまりがほどけていくような感覚があったんです。それが「父を愛している」と自覚したきっかけでした。親子としての関係が、あらためて始まったような気がしましたね。

 

── 今はよき理解者として、関係性が続いているのですね。

 

Yunaさん:「Yunaは自分に似ている」と父はよく言います。私のYouTubeチャンネルも毎回チェックしているし、自分のSNSには私の写真ばかり載せています(笑)。本音で踏み込んで話せるところがあって、どこか対等な関係性なんですよね。それがすごく心地いいんです。

 

── 妹さんのほかに、異母兄弟が6人いらっしゃいますが、交流はされていますか?

 

Yunaさん:はい。異母兄弟全員をコンプリートするのが目標です(笑)。6人のうち、4人はすでに会えたので、あと2人ですね。「会ってみたい」と言ったら父がすごく喜んで引き合わせてくれました。最年少は6歳の男の子です。父いわく、私に性格がそっくりなのだとか。実際、会ってもみても「兄弟なんだな」と感じました。

 

── 好奇心旺盛なYunaさんらしいですね。ただ、異母兄弟というと、お互い複雑な感情を持つケースも少なくありません。

 

Yunaさん:もちろんみんなが同じように仲よくしたいと思っているわけではないと思いますし、それぞれの自由でいいと考えています。複雑な環境を乗り越えてたくましく生きている子もいれば、いまだに父を許せずにいる子や、父の愛情を求めて続けている子もいたりして、本当にさまざまですね。

 

私はというと、結局、人間はひとりだと思っているので、誰かに頼るつもりはありません。今後、新しい感情が芽生えるかもしれないし、そうならないかもしれません。父を介して生まれたつながりも、それぞれが無理なく向き合えたら、それでいいと思っています。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/Yuna