出会って17日目「じゃあ明日結婚しよう」

高畑百合子
結婚当初の初々しいころ

── 最初は取材相手として会ったのですね。

 

高畑さん:そうです。でも取材日当日、同行するはずだったディレクターが急用で来られなくなり、堀江もマネージャーなどはおらず、結局、堀江と私と、この場をセッティングしてくれた同級生と3人で集まることになりました。その場では仕事の話というより、共通の話題で盛り上がる同窓会のような、ひたすら楽しい食事会で終わりました。堀江という高校時代の記憶が鮮明な先輩と会って刺激を受け、自分の細胞がブワッと活性化されて元気をもらい、熱を帯びるような感覚になったのを覚えています。

 

── インパクトのある再会だったのですね。

 

高畑さん:はい。その場でカヌーの取材をさせてもらうことを約束して連絡先を交換し、お礼メールを送りました。そしたら翌日、仕事を終えて帰宅したころに返信がきて「今日、夕飯どうする?」と(笑)。私はすでにメイクを落として部屋着状態だったのですが、先輩が誘ってくれるなら行こうかな、という軽いノリでそのままラフな格好で出かけました。その19日後に結婚したんです。

 

── 19日後!? ものすごいスピード婚ですね。

 

高畑さん:一緒に晩ごはんを食べに行ったその翌日もまた「今日の夕飯どうする?」と連絡が来て、会社まで車で迎えに来てくれました。そこから毎日、私の仕事が終わるころに会社に迎えに来てくれて一緒にごはんを食べ、なんとなくおつき合いすることになりました。19日間は短いと感じるかもしれませんが、毎日たくさんの話をしたので、私としてはものすごく濃厚な時間を過ごした感覚なんです。

 

── つき合い始めから、結婚が前提だったのですか?

 

高畑さん:いえ、結婚しようと決めたのは、出会って17日目でした。私は当時38歳でしたし、遊びでおつき合いする年齢ではないと思っていたので、関係性をはっきりさせたいという気持ちはありました。また堀江は、子どもがすごく好きで将来的には子どもがほしいと思っているな、というのは会話のなかでわかっていました。

 

ただ、堀江が取材対象の選手だというところが私のなかで引っかかっていました。彼は本気でカヌーの選手として東京パラリンピックを目指していましたし、私はパラリンピックにキャスターとして関わる可能性が高かった。周囲のスタッフにおつき合いしていることを隠して取材するのか、でも公言しても気をつかわせるし…という部分がモヤモヤしていて。その話をすると、彼が「だったら、東京パラリンピックが終わるまで待って、結婚しようか」と言ってくれました。

 

── 自然な流れでプロポーズされたのですね。

 

高畑さん:うれしかったのですが、東京パラリンピックが終わってからだと私は40歳。2人とも子どもがほしいと思っているのであれば年齢的なリミットもありますし、恋愛やプライベートはあと回しでがむしゃらに働く時期は過ぎたと感じていたので、そのことを正直に伝えました。彼の答えは「じゃあ明日結婚しよう!」と。

 

── 明日ですか?それはまた急展開ですね。

 

高畑さん:もちろん「え?明日?まだ親にも会ってないのに?」って言いましたよ、私(笑)。でも本当に婚姻届をもらってきてくれたので、次の日に証人サインをもらい、その翌日の夜に提出しました。2019年1月のことです。