「クローン病は強み」友人の言葉でSNSを発信

── なぜSNSで発信することになったのでしょうか?

 

高橋さん:中学時代からの友人にインフルエンサーの子がいるのですが、「クローン病という持病があり、ストーマを造設している、そういった経験全部がめいこの強みだと思うよ」と言ってくれたんです。昔から私を知っている友人の言葉だけに、とてもうれしかったです。以前は病気のことに引け目を感じることがありましたが、友人のアドバイスをきっかけに「たしかに私だけの強みかもしれない」と、前向きにとらえられるようになりました。

 

それにストーマを造設するときや出産するときに、いろいろ調べても「リアルな経験談」をネット上で見つけることができなかったんです。もし私が自分の経験を発信することで、誰かの参考になり、元気になってもらえるのなら、こんなにうれしいことはありません。もともと看護師をめざした理由のひとつも、「自分と同じ病気の人の力になりたい」だったんです。SNSで発信すればその目標はかなえられると気づき、30歳のときに顔を出して、情報発信をすることにしました。

 

── SNSで発信し、反響はいかがでしたか?

 

高橋さん:「クローン病のオストメイト(ストーマを造設した人のこと)がまさか顔出しで発信しているなんて…」と驚かれ、大きな反響がありました。ストーマの主な悩みごとは排泄にかかわることだから、これまで顔を出して発信する人はあまりいませんでした。発信しているのは「ストーマに取りつけたパウチ(排泄物をためる袋)から排泄物が漏れたときどうする?」「オストメイトの不妊治療」「食事制限があってもおいしく食べられる食事」など、オストメイトやIBD(炎症性腸疾患)の方だったら共感してもらえる話です。

 

「すごく元気をもらえます」「励みになります」といったダイレクトメールをたくさんいただきました。こんなに発信を求めてくれている方がいたと知り、やりがいを感じました。オストメイトの人たちの力にもっとなれることってなんだろうと考えていたところ、ネットで障がい者モデルのオーディションを見つけ、挑戦することにしたんです。