病名を公表して、SNSで発信をする人たちがいます。誰もがなりうる大病でも患者数が少ない難病でも、それを見て救われる人はいます。クローン病を抱える高橋めいこさんも情報発信を始めたひとり。彼女は新たにモデルにも挑戦を始めました。(全3回中の3回) 

憧れの看護師の仕事を辞めて保健師に転身した訳

── 高橋さんは7歳のときに炎症性腸疾患のひとつである難病「クローン病」と診断されたとのこと。クローン病は口から肛門までの消化器官に慢性的な炎症が起こり、発熱、だるさ、下痢、腹痛などの症状があるそうです。23歳でストーマ(手術によりお腹に作られた便を排泄する出口のことで人工肛門ともいう)を造設したと伺いました。将来は看護師になりたいと考え、18歳のときに4年制大学の看護科に進学したと伺いました。なぜその進路を選んだのでしょうか?  

 

高橋さん:私は小さいころから何度も大きな手術をしていて、病院に行くことが多かったんです。長期入院することが多く、看護師さんがやさしくて、テキパキ働く姿に憧れました。私も患者さんのためになることをしたいと考え、看護師をめざすことに。進学先は短大や専門学校も考えていたのですが、勉強する期間が短いとそのぶんカリキュラムがハードです。クローン病は疲れやストレスで症状が出やすくなるので、身体の負担のこともあり、母からも4年制大学を勧められました。

 

私が進学した大学では看護師の免許と同時に、健康相談や保健指導・乳幼児検診などを行える保健師の資格も取得可能なカリキュラムでした。母からは「せっかくだから保健師も取得しておきなさい」と言われたこともあり、看護師と保健師の資格を取得。卒業後は、ひとまず病棟の看護師として就職しました。

 

高橋めいこ
ストーマ造設直後の様子

── 看護師の仕事はいかがでしたか?

 

高橋さん:憧れていた仕事だったし、やりがいもありました。ただ、病棟の看護師は夜勤があり激務です。体調を崩してしまい「もう続けられないかも」と思いました。そのとき、勤務先の病院から「健診センターで保健師として働かない?」と声をかけられたんです。それから現在まで、保健師として健診センターで働いています。

 

病棟で看護師として働いていると、病気にかかっている人への看護が主な仕事になります。それに対し保健師は、元気な人に対して健康診断で病気を早期発見したり、予防するための指導をしたりするのが主な業務です。正直なところ、保健師の資格を取得したときは、それほど興味がありませんでしたが、実際に就業してみると、健康な人がずっと元気でい続けるお手伝いができることにやりがいを感じました。あのとき、母の言う通りに取得しておいてよかったと思います。

 

保健師として働いている30歳のときに妊娠・出産をして、育休に入りました。そのころからSNSでストーマ(人工肛門)当事者として、SNSで発信するようになりました。