30歳で体外受精を経て計画帝王切開で出産

── 妊活などはしていたのでしょうか?

 

高橋さん:はい、しました。不妊検査をしたところ、私はストーマを作ったり、何度も手術をしたりしていたことがあり、卵管が癒着していたんです。片方の卵管が詰まることで、排卵しても卵が流れない状態になっていました。卵子のキャッチアップ機能が損なわれるため、妊娠の可能性が半分になっていたんです。夫は精子の運動率がよくないと言われていました。夫婦いずれにも問題がある状態だったんです。

 

不妊治療は「タイミング法」「人工授精」「体外受精」といった種類があります。一般的には心理的にも身体的にも負担が少ないタイミング法から始め、少しずつステップアップしていきます。ただ、私たち夫婦の場合は不妊の原因がわかっていたので、妊娠率が高くないといわれるタイミング法から始めるのは、時間的にもったいないと考えました。人工授精を5回行ったのですが、妊娠しなかったので、すぐに体外受精に臨んで。30歳で妊娠することができました。

 

高橋めいこ
30歳で念願の妊娠

── 高橋さんがストーマを造設したのは23歳のときだと伺いました。30歳で妊娠したとき、大変だったことはありますか?

 

高橋さん:いざ妊娠してみるとストーマがあるために心配なことは多かったです。たとえば、お腹が大きくなっていくにつれて、お腹の左側のストーマを造設した部分が見えなくなるんです。だから、排泄物がたまったパウチ(排泄物をためる袋のこと。ストーマの上から被せるように腹部に直接取りつけている)も見えず、鏡を見ながら交換していました。それでも、当時はうまく取りつけられないことも多く、漏れてしまうこともありました。お腹の赤ちゃんが成長するにつれ、ストーマが圧迫されてしまうのではないか…というのも心配でした。

 

しかも、瘻管ができやすかった私は、膣のほうまでウミがたまりやすくなっていました。経腟分娩となると出血多量になるおそれがあるそうで、ストーマを作った病院で計画帝王切開で出産することになりました。産科の医師はもちろん、ストーマを作ってくれた消化器外科の医師も出産に立ち会ってくれました。娘の顔を見たときは「やっと会えた」と感動しました。妊活時期が長かったし、本当に産めるのか不安もありました。たくさんの人の支えがあって、母になれたのがすごくうれしかったです。