「お手伝いしたい!」とパウチ交換しようとする娘
── 赤ちゃんのお世話はどんな様子でしたか?
高橋さん:私の場合、睡眠不足になるとクローン病が再発しやすくなります。再発すると、発熱、だるさ、下痢、腹痛などの症状が出てしまいます。赤ちゃんが幼いころは睡眠不足になりやすいうえに授乳もしていたから疲れが出て、産後3か月で私は高熱を出してしまいました。本来であれば入院といわれたのですが、赤ちゃんがいるので入院は難しいと伝えると、自宅で安静にすることになりました。夫の両親が隣に住んでいるので、何かあるたびに助けてもらっています。

── 現在、3歳の娘さんに高橋さんの疾患についてどのように伝えていますか?
高橋さん:娘はいろんなことがだんだんとわかってきています。私のストーマやパウチが気になるようで、「それは何?」と聞かれることがあります。だから包み隠さず、簡単な言葉で「みんなはお尻からうんちが出るけど、ママは病気だからここから出るんだよ」と、ストーマを見せながら伝えています。
私にクローン病という疾患があるということを、娘には深刻にとらえてほしくないんです。誰でも人とは違う部分があるし、それを自然に受け止めてほしいなと思っています。だから娘に質問されたときは、明るく答えるようにしています。娘がどこまで理解しているかはまだわからないのですが、私がパウチの交換をするときは「お手伝いする!」と、手伝ってくれています。
クローン病は消化器に炎症が起きる疾患です。人によって症状は異なるのですが、排泄にかかわるセンシティブな部分もあります。私は広く病気のことを知ってもらうため、SNSでも積極的に発信しています。オストメイト(ストーマを造設している人のこと)やクローン病の経験談や、排泄に関することなどもネガティブにならないよう、「私にとってはごくふつうのこと」として明るく伝えています。娘たちの世代の子にも、偏見なく当たり前のことと受け入れてもらえたらいいなと思います。
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幼いころからクローン病を抱えながら生きてきた高橋めいこさん。ストーマ手術などを経て、現在は保健師として働き、小さな娘さんの子育ても行う日々です。そんななか、この病気でも元気でいる姿を示そうと、障がい者モデルにもチャレンジ。オストメイトの当事者として、少しでもストーマ(人工肛門)への理解が深まればと活動を続けているそうです。
取材・文/齋田多恵 写真提供/高橋めいこ