元Folder5・AKINAさんは、長女の出産後、あまり表舞台に立っていない時期があったそう。もう一度歌と向き合おうと思えたのは、友人からの何げないひとことがきっかけだったといいます。(全2回中の2回)
次女の育児で「長女の幼少期を思い出し」
── 9年ぶりの赤ちゃんとの生活はいかがですか。
AKINAさん:毎日、家族で「かわいい」とばかり言っています。今、次女は7か月ですが、新生児のころの沐浴は久しぶりすぎて怖かったです。

経産婦の方は、産後の入院中に沐浴の指導は省かれることが多いのですが、私は心配のあまり「久しぶりなので、いちから教えてください」と助産師さんに頼んで習ってきました。普段の生活でも赤ちゃんと会う機会が減っていたので、本当に久々に赤ちゃんを抱っこしたという感じでした。
── 長女と似ているところはありますか。
AKINAさん:次女は今、指しゃぶりをしているんですけど、その姿を見て「あ〜、そうだった」と長女が赤ちゃんのころを思い出しています。うちはふたりともおしゃぶりはダメで、指しゃぶりをするんですが、それを見てすごく懐かしい感覚になりました。赤ちゃん特有の、バンザイをして手を上げて眠る姿を見ても、「そうだった、そうだった」って。長女が小さいときの写真を見返すことが増えました。
── 年の差育児についてはいかがですか。
AKINAさん:長女が生まれて、親の私たちも成長しているんだなと思うことばかりです。次女の行動すべてを、おおらかにとらえられます。今もよく夜中に泣いて起きるんですけど、泣いている姿もかわいいと感じるのは、これがずっとは続かないとわかっているからだと思います。次女が「ここにいるよ」と泣いて表現してくれることに「ありがとう」と思いながら抱っこするのですが、これは長女を育ててきた今だからこそ思える感覚ですね。
昔はそれこそ、抱き癖がつくなんてことが言われていた時代もありましたが、私はむしろ抱き癖がつくのは幸せなことなんじゃないかなと思うんです。誰かが常に抱っこしてくれているって、いつもみんなに見てもらって育った証ですよね。長女も抱っこができるので、次女はたくさんの人から愛情を受けて育っています。
── 素敵ですね。ちなみに、今回は産後すぐに仕事復帰されていた印象でしたが、長女を出産後はどのような生活をされていたんですか。
AKINAさん:長女を産む前に生理不順で4年半も生理が来なかった経験があったので、結婚後に事務所を辞めて本格的に体を整えることに専念しようと思いました。長女を産んだ後もほとんど表に立つような仕事はしていません。ライブハウスで歌うのは無理だと思っていたんです。小さい娘を育てながらできることってなんだろうと自分なりに考えて、ベビーマッサージやベビーヨガをしようと思い、インストラクターの資格を取りました。資格を取ることにハマっていた時期で、アスリートフードマイスターなどの勉強もしました。長女を産んだ後は、なぜか子どもがいたら今のように歌うことはできないと勝手に思ってしまっていたんです。
音楽は変わらず好きだったので、赤ちゃんにも本物の音楽に触れてほしいなと思い、子連れで音楽を楽しめる、親子のための音楽会の主宰もしていました。娘が1歳のころですね。当時は、すべてが子ども中心でした。私としては、これからも頑張っていくぞとやる気満々だったのですが、ある日、友達から「それって、AKINAがやらなきゃいけないことなのかな」と言われて、ハッとしたんです。そのシンプルな言葉が胸に刺さって、家に帰ってからもずっと考えていました。
赤ちゃんと触れ合うことも大好きだし、資格を取ることに一生懸命になっていたけれど、私がしたいことって歌だったなって。その言葉がきっかけで、もう一度歌と向き合ってみようと思い、歌手としての活動をスタートさせました。友達のひとことが大きな転機となって、音楽を続けていくなかでサックスにも出会えました。