「警戒心」は現役時代のプレーにも役立った

── そうした観察眼が現役時代の華麗なプレーにつながっていたんですね。ただ、ふだんの生活で、そこまで警戒して先を読むのって、ストレスになりませんか…?

 

川合さん:逆に、警戒せずに行動するほうが僕にとってはストレスになるんです。昔から、データを集めて分析したり、予測を立てるのが好きで、得意科目は数学でした。もはや趣味のようなものですね。よく横断歩道で青になった瞬間にそのまま渡る人、いるじゃないですか。僕からすれば、ちょっと信じられなくて…。赤信号を無視して車が突っ込んできた、なんてニュースを見ることもあります。あれが、自分に起きない保証なんてないですからね。

 

僕の場合、青になったらまず、先頭の車の運転手の目や表情を見ます。「信号をちゃんと見ているか」「飛び出してこないか」。それを確認してから渡りますね。

 

── そこまで徹底されているとは…。

 

川合さん:他人の行動は予測がつかないですからね。でも、ふだんからそれだけ細心の注意を払って行動しているので、まれに何かミスをすると、うちの奥さんは「うわあ、珍しい!」って、ものすごくうれしそうにしています(笑)。

 

 

警戒心の強さが際立つ川合俊一さんですが、ゲッターズ飯田さんの占いで「強運の持ち主」と言われたのを機に、本人が知らないところであるブームが巻き起こりました。それが「川合さんの姿をスマホの待ち受けにすると運を呼び込む」という、ある種の都市伝説。本人にその話を振ってみたところ、ご自身も「ツキ」がある人生だったとは思うものの「おじさんが女子高生の待受画面って…おかしいだろ(笑)」と笑っていました。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/川合俊一