アイドルのグッズ欲しさに砂場の砂を瓶に詰めて売り歩き

── おこづかいを稼ぐために、砂場の砂を売っていたこともあると伺いました。

 

奥井さん:そうなんです(笑)。おこづかいが少なくて。それも親があえて少なく渡していたみたいなんですけどね。理由としては、駄菓子屋で買ったお菓子を食べて、晩ごはんが食べられなくなっても困る、という。それはたしかに理にかなっていますけど、私はお菓子というより当時、流行っていたモーニング娘。とかアイドルのグッズがほしかった。それには全然おこづかいがたりなくて。そういう状況を打破する手段として考えたのが、砂を売ることでした。

 

── すごい商売人マインド…!どうやって思いついたんですか?

 

奥井さん:流行っているものはみんな欲しいし、みんなが欲しいものは売れるはずだ、と。それで「今、流行っているものは?」と考えたときに、当時、先輩が口ずさんでいた歌の歌詞に「星の砂」っていうフレーズがあることに気づきました。沖縄に旅行した友達が、お土産にキラキラした星の砂を持って帰ってきたこともあったので「これは流行ってるんだ。これなら自分でも作れるかもしれない」と思いついたんです。それで、公園や校庭できれいな砂を集め、お菓子の瓶とかに詰めて、120円とか150円とかで売ってました。

 

── 売れるものなんですか?

 

奥井さん:そこまでたくさんは売れていないですけど、10個ぐらいは売れたと思います(笑)。

 

── 当時の子どもにとっては大金ですよね。図書館で経営学も学ばれたんですか?

 

奥井さん:あまり覚えていないですけど…。ただ、昔の4コマ漫画には、たとえば主人公が悪知恵をはたらかせるとか、そういう描写があったような。そういったところから無意識に影響を受けていたのかもしれないですね。

 

── 子どものころは何になりたかったですか?

 

奥井さん:お金持ちになりたくて。「そのためには、淡路島から出ないといけない」と思っていました。耳がよかったので、英語は得意だったんです。それで、お金を稼ぐために海外に行きたい、という思いが昔から漠然とありました。あとは、図書館にDVDの視聴コーナーがあったんですが、そこでアメリカの映画やドラマをよく観ていて。いつか行ってみたいと思っていましたね。