「殺処分ゼロへ」動物保護施設の立ち上げに奔走

── そんなことが…、胸が痛みますね。

 

田中さん:その3年後、32歳のときに、同番組で犬のトリマー修行のため、イギリスを訪れました。イギリスではトリマー協会がボランティアで保護施設の犬をきれいにトリミングし、里親への譲渡につなげる活動をしていて、私も番組で活動に参加させてもらったんです。こうした活動が150年以上続いていると知り、動物への深い慈しみに心を打たれました。

 

いっぽうで日本はどうかというと、まだ動物が「モノ」とみなされることが多い現状がありました。その違いを目の当たりにして、「ずいぶん遅れているな」と感じて。日本にも、一生涯ケアできる動物の保護施設を作れないだろうか…そう思ううちに「私がやらなくちゃ」と使命感がムクムクと芽生えました。そこから動物福祉について学び、さまざまな団体の視察をするところから動き出しました。

 

田中美奈子
 20代後半にタレント活動と並行して動物保護もスタート

── これまで、どんな活動を続けてこられたのでしょうか?

 

田中さん:犬や猫の保護活動や里親探しに加え、全国の動物関連のイベントでトークショーを行い、殺処分の現状を映像や写真を通じて発信してきました。現実を知ってもらうことで、少しでも意識が変わるきっかけになればと、全国各地で講演活動も続けています。

 

東日本大震災の際には何度も被災地を訪れ、支援活動を行いました。寄付を募り、ペットフードやトイレシートとともに石巻の動物救済センターに届けるなど、動物のための支援を続ける一方で、現地で不足していた生活必需品や生理用品、化粧品なども届け、人々の生活を支える活動にも尽力しました。

 

── いま、とくに力を注いでいる活動はありますか?

 

田中さん:「殺処分ゼロ」を目指す動物保護施設の立ち上げですね。長年構想を練り、時間をかけて準備を進めてきた結果、ようやく実現がみえてきたところです。廃校などを見て回り、適切な場所も探し続けてきましたが、理想的な場所を見つけることができました。

 

この施設は単なる動物保護の場だけでなく、地域に開かれた拠点として地方創生の側面も含めた社会貢献の場になればという思いがあります。