猫6匹、犬1匹とにぎやかに暮らす田中美奈子さん。しかし、「殺処分」など動物をとりまく環境は悪化しています。田中さんはいま、動物と障がい者や地域といった社会との共生まで考えた、とある実現に邁進しています。(全3回中の2回)
猫6匹や犬1匹と暮らす生活
── 動物愛好家としても知られる女優の田中美奈子さん。現在、一緒に暮らしているペットについて聞かせてください。
田中さん:ペットショップで売れ残っていたミックス犬のミルク(7歳)、心臓肥大を抱える長毛猫クレア(3歳)、元野良猫のポン太(18歳)など、犬1匹、猫6匹と暮らしています。ポン太は、家の前でお腹が裂けたひん死の状態で置き去りにされていましたが、病院にすぐに連れていき、一命を取りとめました。高齢なので歯がほとんどなくなり、足腰も弱っていますが、健気に毎日、頑張って生きています。
じつは以前、夫と子どもに猫アレルギーがあることがわかり、ずっと続けてきた保護活動が一時はできなくなってしまったんです。いろいろと調べてみると、短毛の猫は毛がチクチクしてアレルギーが出やすいのに対し、長毛の猫は比較的反応が出にくいことがわかり、うちの猫たちは長毛の子ばかりに。おかげで家族の猫アレルギーの症状も治まり、安心して一緒に暮らせるようになりました。

小さいころから動物が大好きで、捨てられている犬や猫を拾ってきては家に連れ帰って育てていました。犬や猫、インコ、うさぎ、鶏、リスザル…さまざまな動物と一緒に暮らしてきました。いちばん多いときは犬や猫が16匹もいたんですよ。動物がいない生活なんて、私には考えられない。そばにいないと、心が苦しくなっちゃうんですよね。
── 1999年、32歳のときに動物愛護団体を設立し、長年にわたって活動を続けてこられました。きっかけは何だったのでしょうか?
田中さん:本格的に動物保護活動を意識し始めたのは20代後半、紀行ドキュメンタリーテレビ番組の『世界ウルルン滞在記』(TBS系)で、マレーシアのオランウータンの保護センターを訪れたことがきっかけでした。その施設では、森林伐採で行き場をなくしたり、ペットとして飼われていたものの、手に負えなくなって捨てられたオランウータンを保護し、再び、ジャングルで自立した活動ができるようにトレーニングして、ジャングルへ戻す活動のお手伝いさせてもらいました。
そこで知った現実に大きな衝撃を受けました。日本が最も、ペットとしてオランウータンを求める人たちがいるというのです。本来、ワシントン条約で売買は禁止されているはずなのに、密かに飼育されているケースがあるのだそう。そして、赤ちゃんオランウータンを手に入れるために母親が撃ち殺される現実を知り、すごくショックで…。そこから、「何か自分にできることはないだろうか」と、思い始めたんです。