「悪役」「怖い」イメージを払拭できた転機とは

── ドラマでは悪役を演じて、強烈な印象を残しましたね。

 

田中さん:監督には「悪の先頭に立って頑張ってほしい」と言われていたのですが、いざ台本を読んで「ここまでやるの!?」と驚きました。自分の手を汚さずに人を陥れるキャラクターで、山口智子ちゃん演じる車椅子の田代美幸を階段から突き落としたり。「視聴者の反応がすごいことになりそうだな…」って、思いながら挑みました。

 

── そうなのですね。実際に強烈な悪役を演じたことで、周囲の反応やその後の仕事に影響はありましたか?

 

田中さん:「怖い人」のイメージがすっかり定着してしまって、その後、犯人役や悪役のオファーがしばらく続きました。もともと私は人を笑わせることが大好きで、ずっとコメディがやりたかったんです。90年から『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』(フジテレビ)というお笑い番組にレギュラー出演させていただき、それが本当に楽しくて。でも、ドラマの影響で、悪役や犯人役のイメージから抜け出せない。やりたいこととのギャップに悩んだ時期がありました。

 

そんななか、転機になったのが『風になりたい』(1998年、TBS系)という昼ドラでした。初めて小学生のお母さん役を演じたことで、等身大の自分に近い役を徐々にいただけるようになりました。