大食いアイドル・もえあずさんは、テレビ番組などで大食いを披露するいっぽうで、ふだんの生活でも食べることには貪欲。食費はなんと収入の約8割!いっぽうで、食との関わりをもち、生産者の苦労を知ったことで感謝の気持ちが芽生えたそうです。(全3回中の1回)

「体感で収入の8割」は食費に使っている

── 大食いアイドルとして活躍するもえあずさん。ふだんから食べることが好きで、とてもよく食べるそうですが、毎月の食費はどれくらいかかっていますか?

 

もえあずさん:いくらかかっているのか怖くて、きちんと計算していないんです。体感的には収入の8割くらいが食費のような気がします。食べ物やお酒に関してはためらいなくお金をかけるんです。コロナ禍で自粛生活だったころは、15万円くらいして、高価で迷っていた憧れの10kgの生ハムの原木を買っちゃいました。

 

いっぽうで、3000円くらいのプチプラの洋服は高く感じます。「どうしよう…すぐには買えない」と、すごく悩むんですよ。何よりも食べ物が最優先だからです。「仕事でたくさん食べる機会があるから、プライベートでは量を減らしているのでは?」と、聞かれることがありますが、あまり意識していません。生活するために大食いなどの仕事をしつつ、プライベートではごほうびとして好きなものを食べる楽しみがあるみたいな、とにかく食を中心に人生が回っています。

 

──「元祖!大食い王決定戦」では、2015年〜2017年に3連覇しました「元祖!大食い王決定戦」に出場されていたころと現在とでは、食べ方の変化はありますか?

 

もえあずさん:「元祖!大食い王決定戦」に出場していたときは、試合前に食べる量を控えるなどの調整はしていましたが、当時と大きく変化はしていません。大好物の食べ物をたくさん食べるのも好きだし、食べたことがない食材や料理に挑戦するのも楽しみです。海外に行ったときは日本にはない食べ物を必ず食べてみます。ベトナムに行ったときは、「ホビロン」という孵化直前のアヒルのゆで卵や、果物の王様・ドリアンに夢中になりました。お酒を飲むのも好きで、ここ数年は本格的に日本酒づくりに取り組んでいます。

 

── 日本酒づくりを始めたきっかけを教えてください。

 

もえあずさん:たまたま日本酒の酒造の方とお話しをする機会があって、「日本酒が大好きです」と話したんです。すると「きき酒師の資格があるから、取得してみたら?」と教えてもらいました。「きき酒師」って日本酒のソムリエみたいな民間資格ですが、私はそのお話を聞いた翌日に申し込み、資格をすぐに取ったんです。報告すると、酒造の方からは「本当に取得したんだね、行動力あるんだね」とびっくりされました。

 

もえのあずき
日本酒造りを実際に体験し、オリジナル日本酒を開発

そこからお酒造りの体験に誘ってもらえるようになって。大好きなお酒造りに関わると、楽しいうえに、すごく勉強になるんです。「今年も参加したいです」と毎年、言っていたら「こんなに毎年、来たがる人はなかなかいないよ」と、本気度を認めてもらえたみたいで、それから本格的な酒造りを少しずつ教えてもらえるようになり、私もどんどん夢中になっていきました。

 

2019年、純米吟醸酒「もえこい」(非売品)をプロデュースする機会をいただきました。ピンク色のにごり生酒で、着色料や紅麹などはいっさい入れず、ピンク色になる酵母を使っているんです。2022年にプロデュースしたオリジナル純米大吟醸「もえ姫」(販売品)は、ありがたいことに海外でのさまざまな酒類コンテストで賞をいただきました。

 

── 日本酒造りに関わり大変だったことや、やりがいを感じたことはありますか?

 

もえあずさん:先日、仕込みのために、大きな醸造タンクに入っている「もろみ」をかき回す作業をしていました。そのときに夢中になりすぎて、タンクの中に落ちそうになったんです。実はタンクの中は二酸化炭素が充満していて、落下すると即死するらしくて…。死と隣り合わせの危険な作業だと知って、驚きました。力仕事が多くて朝も早いし、酒造の方たちは命がけで日本酒づくりに取り組んでいるんだなと実感します。

 

それなのに、お手頃価格で購入できる日本酒が多いですよね。こんな大変な作業をして作られているんだと思うと、「ちょっと安すぎない?」と思うし、消費者が手にするまでにたくさんの人が努力してくれていると考えると、感謝でいっぱいです。いまでは、お酒を飲むときに、より味わっていただくようになりました。

 

最近は、食に関する仕事に取り組むことも多いんです。たとえば、福島県相馬市の「相馬の食と観光魅力発信事業」の一環として、食の魅力を発信する仕事に関わらせていただいています。「もえあず米プロジェクト」として、お米づくりにも挑戦しています。