アイドル界一の大食いとして今では確固たる地位を確立しているもえあずさんですが、実はテレビに出るまで自分が大食いだとは思っていなかったとか。爆食女王として覚醒するまでの道のりは、想像以上に険しいものでした。(全3回中の2回)

大食いだと自覚がないまま大会に出場すると…

── もえあずさんが「大食いアイドル」として活動を始めたきっかけを教えてください。

 

もえあずさん:2012年、つんく♂さんがメインパーソナリティーだったテレビ番組の企画「つんつべ♂大食いアイドル選手権」という企画で優勝したんです。そのときの私の食べっぷりを見たつんく♂さんから、「本家(『元祖!大食い王決定戦』)に出場できるよ」と言われました。それまで私は自分が大食いだと気づいていなくて。誰もが自分と同じくらい食べられるものだと思っていました。だから、友だちと一緒に食事をしたときに、皆が「おなかいっぱい、もうムリ」と言うのも、礼儀やあいさつみたいなものだと思っていたんです。 

 

それが「つんつべ♂大食いアイドル選手権」では、アイドル仲間がすぐに満腹になり、次々と脱落していきました。「もう食べられない」と言っていたのは、本当にその言葉のとおりだったんだ!」と、びっくりして…。同時に、私の大食いは芸能界で生きていくうえで強い個性になるかもしれないと感じました。とはいえ『元祖!大食い王決定戦 』はレベルが違うだろう…とも思っていて。私じゃ通用しないかもとためらいがあり、すぐには出場しませんでした。

 

もえのあずき
キュートな外見と大食いのギャップが魅力的なもえあずさん

──『元祖!大食い王決定戦』に初出場されたのは「つんつべ♂大食いアイドル選手権」の翌年(2013年)ですね。

 

もえあずさん:初出場したときは3位入賞しました。番組出演のおかげで少しずつ街を歩いていると声をかけてもらったり、お仕事が増えたりしました。でも、テレビにちょっと出演したからといって、すぐに売れるとは限らないですからね…。私はずっとアイドルに憧れていて、2011年にデビューしました。でも、アイドルカフェでバイトするのが主な活動で、なかなか芽が出ませんでした。「この先の人生、どうなるんだろう」と、不安を抱える毎日だったんです。

 

だから大食い王決定戦に出場後、次の試合で絶対優勝し注目されたかったんです。そこで大食いの大先輩・赤阪尊子さんに弟子入りしました。赤阪さんのトレーニングは、いっけん食べることとは関係ないことが多くて意外でした。

 

たとえば、私が「泳げない」というとプールに連れて行かれたんです。ビート板でひたすら泳がされたのですが、「苦しくても泳ごうとする気持ちが、大食い大会にもつながる」とのことで。精神力が大切だと教えてもらいました。赤阪さんからは「大食い大会では限界を感じても、あとひと口食べることが大事」とアドバイスをいただいて。その言葉は、人生のいろんなタイミングで支えになっています。