うちに子どもはいないけど
── それが29年間でいちばんのケンカですか…。もっと激しいものを想像してしまいました(笑)。
江口さん:私たち夫婦にとっては大事件だったんです(笑)。結局、いただいたソファが気に入って、20年近く使いました。
── おふたりは、結婚当初から「父さん」「母さん」と呼び合っているそうですね。お子さんがいらっしゃらないご夫婦で、そうした呼び方は少し珍しいようにも思いますが、何かきっかけがあったのでしょうか?
江口さん:実は独身時代からなんです。といっても、特に理由があるわけではなく、あるとき急に彼が「ねえ、かあちゃん」って呼び始めて。まだ私は20代、夫は9歳上。それなのに「なんでかあちゃん?」と思いましたが(笑)、「それならあなたは…父ちゃん?」とノリで返したら、それが定着し、今は「かあさん」「とおさん」に落ち着きました。
うちには子どもはいませんが、「もぐたろう」と名づけたぬいぐるみがいて、私たちにとってはわが子のような存在です。ほかにも「フモフモさん」というキャラクターのぬいぐるみが112体、5歳のころから一緒のスヌーピーなど、全部で200体ほどのぬいぐるみが家のいたるところにいます。持ち歩く子は日替わりで、旅行には、あみだくじで連れていく子を夫婦で決めるんです。ぬいぐるみは、夫婦の会話のクッションにもなっていますね。

── 会話のクッションというのは?
江口さん:夫に何かをお願いするとき、ぬいぐるみを介して伝えることもあるんです。たとえば、もぐたろうを使って「ねえ、とおさん。かあさんが欲しいものがあるみたいだよ」「お皿洗ってほしいって言ってたよ」とか。すると「もぐたろうが言うなら仕方ないなあ」という雰囲気に(笑)。「ペットが家族のコミュニケーションを深めてくれる」とよく聞きますが、うちの場合、それがぬいぐるみなんです。
── 夫婦円満にもひと役かっているのですね。
江口さん:ゴルフ、陶芸、ドライブ、旅行など、共通の趣味が多いので、話題が尽きないことも夫婦円満の秘訣かもしれません。私は宝塚歌劇団のファンで舞台をよく観に行くのですが、夫もつき合ってくれたり、家で一緒に配信映像を見たりしています。お互いの友人や知り合いもほぼ共有しているので、知らない部分がほとんどないですね。私の同級生たちにも彼はすっかり馴染んでいて、枝豆だから「エディ」って呼ばれてます(笑)。