娘の子育てで後悔していることがある

── 娘さんには、昨年お子さんが生まれたとか。

 

坂田さん:女の子で、もうすぐ1歳になりますね。これが、娘とそっくりなのよ。ときどき家に遊びに来るんだけど、子どもだった娘が母親になって、フニャフニャしてる孫を見ると娘の小さいころがカブったりして、なんとも不思議な感じです。

 

── 振り返ると、坂田さんの子育ては大成功、ですか?

 

坂田さん:いやいや、そんな。家で仕事をする姿を見せられたのはよかったなと思うけど、今でも「これはどうしたらよかったかな…」と思うことがあります。娘が小学生のころ、たとえば「今日、学校でこういうイヤなことがあった」とか「友達にこんなことを言われた」と僕に話してくることがあって。そういうとき、僕は「自分にも反省するところがあるんじゃない?」とか「そんなふうに悪く言うと、相手だって傷つくよ、辛いよ」みたいな感じで、わりとたしなめていたんです。

 

坂田おさむ、坂田めぐみ
コロナ禍のころ、ZOOMライブで坂田めぐみさんと共演

── 娘さんは、その助言を素直に受け入れたのですか?

 

坂田さん:たぶん、娘なりに懸命に理解して受け止めたと思う。でも、相手のことを考えすぎたのか、どんどん過敏な性格になっていったんですよ。たとえば、テレビでちらっとケンカするシーンが映るだけでも、ものすごくショックを受けちゃう。気持ちがギュッとなって、見ていられないみたいで。

 

── すごく繊細で、共感しちゃうんですね。

 

坂田さん:そんな感じです。僕は「テレビの中の話だよ」とか「そんなに自分に引き寄せて考えなくてもいいじゃない」と言ったけど、10代のころはずっとそういう感じだったんじゃないかな…。

 

今でもそうだけど、ものすごく気遣いする子なんです。人の動きや気持ちを先読みして、先の先の先まで考える、みたいな。それはいいことでもあるけど、気疲れしちゃうんじゃないかなと思ってね。だから振り返ると「俺が言ってたことが、娘が過剰に気を遣う子になった原因なのかなぁ…」とかね。もっとテキトーにとらえていいんだよ、と言えばよかったかしらと思ったり。

 

── そうだったんですね。

 

坂田さん:かみさんにときどき話を聞いてたけど、10代のころはけっこう大変だったみたいで。僕にも悩んでる感じは伝わってきたし。だから、娘には申し訳なかったなと。

 

── でも、難しいですよね。どう接するのがいちばん正しかったのか。

 

坂田さん:そうですね。当時もそうだし、今でも、どうしたらよかったのか、と。娘にとっては父親からの言葉というのが、僕が思う以上に重く残ったのかもしれないし。だから「子ども番組に長年出ているおにいさんだから、子育ても上手くいきました」なんてことはないんです。