美輪さんや島田洋七さんからのアドバイスを胸に
── 大切にしてきた宝物を、ようやく披露するときが巡ってきたんですね。
勝俣さん:じつは40代のころ、島田洋七さんの『佐賀のがばいばあちゃん』を読んで感銘を受け、ご本人に会いに行きました。「洋七さん、僕もあなたのような講演をやってみたいんです」と、伝えたら「お前の年齢では、まだその話をするのは早い。だけど、必ずそういう時期がくるから、そのときに備えて話をためておけよ」と言われて。その言葉通りになりました。さすがだなあと思います。
── もらったアドバイスを行動にちゃんと移すからこそ、運も味方してくれるのかもしれませんね。
勝俣さん:ムダなことって、ひとつもないんだなって、しみじみ感じますね。僕は本当に、人に恵まれてきたと思うんです。芸能界の大先輩たちからいただいた宝物のような言葉が、自分の血肉になっているなと実感しています。
こんなこともありました。20代のころ、ある番組で美輪明宏さんとご一緒させていただいたときのことです。舞台のそでで、美輪さんとふたりになったとき「あなたのこと、大好きよ。その優しさをもっと磨きなさい。そうすれば、たくさんの人を喜ばせることができるわよ」と、声をかけてくださったんです。さらに「日本語は美しい言葉だから、たくさん本を読んで、きれいな言葉を覚えなさい。そうすれば、誰かを傷つけることもなく、むしろ傷ついている人を癒やせるようになるから」と。
その言葉に感激して、美輪さんの本を読み漁りました。気になる言葉があればすぐに調べて「いつか自分もこういう素敵な言葉を使えるようになりたい」と、心の引き出しにしまっておいたんです。美輪さんに教えていただいたのは、そんな「言葉の持つ力」でしたね。
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情報感度が高く、芸能界の交流も広く、いろんな世界を知っていそうに見える勝俣州和さんですが、スマホは未経験。いまだ「ガラケー」一筋なのが話題にもなりました。不便では?と言葉を向けましたが、ご本人にとっては、仕事や人との「ちょうどいい距離感」を保つ手段なんだそうです。
PROFILE 勝俣州和さん
かつまた・くにかず。1965年生まれ、静岡県出身。劇男一世風靡を経て、1988年アイドルグループ・CHA−CHAを結成。 現在、バラエティ番組に多数出演。YouTubeチャンネル『勝俣かっちゃんねる』好評配信中。著書に『全力疾走するバカになれ』ほか。
取材・文/西尾英子 写真提供/勝俣州和