勝俣州和さんは、20年以上前から知的障がいを持つ方々との交流を深めています。「彼らから学ぶことが多い」と勝俣さんは言います。ときに真剣に、ときに思い出すように楽しそうに、交流について話してくれました。(全5回中の1回)

交流を通じて人としての大事なことを教わる機会に

── 芸能生活37年、今年還暦を迎えたタレントの勝俣州和さん。あまり知られていませんが、20年以上にわたって、障がい者支援施設「こころみ学園」(栃木県)との交流を続けてこられたそうですね。

 

勝俣さん:プライベートで交流をさせていただいています。ただ、「支援」ではありません。実際には、僕のほうがたくさんのことを学ばせていただいていますし、いつも元気をもらっている感覚です。だから、支えてもらっているという表現がぴったりです。

 

── そうなのですね。交流が始まったきっかけから詳しく伺ってもいいですか?

 

勝俣さん:20数年前ですが、大学時代の友人が栃木県に住んでいて、よく遊びに行っていたんです。あるとき彼が「こういう場所があるよ」と連れて行ってくれたのが、こころみ学園の園生たちがブドウを育て、ワイン造りをしている「ココ・ファーム・ワイナリー」でした。

 

初めて訪ねた日は、ファームで作っている原木しいたけの木を運んだり、ブドウ畑のいらない枝を切ったり、一緒に汗を流しました。心と体が満たされる、とても充実した1日だったんです。それがきっかけになって、その後も定期的に通うようになりました。

 

勝俣州和
こころみ学園に併設されたココ・ファーム・ワイナリーの収穫祭であいさつ

こころみ学園には、当時200名ほどの園生がいて、半数が僕より年上でした。皆さん本当に一生懸命作業に取り組むんです。みんな人の悪口は言わないし、困っている人がいたら手を差し伸べている。彼らと接していると、自分たちがいかに怠慢で、口先だけで生きているかを痛感させられます。「障がいのある人」と、ひとくくりにしがちですが、そうではなくて、人間はもっとトータルで見ると区別する必要はないと思います。むしろこちらが人として大事なことを教えてもらい、自分自身をあらためるいい機会になっているんです。