「子育ては大変だ」ってアナウンスが多すぎる
── ぺこぱのポジティブ漫才にかけて、子どもを全肯定する「ポジティブ育児」なる言葉が流行りました。松陰寺さんの子育てはやはりポジティブ育児でしょうか?
松陰寺さん:「ポジティブ育児」という言葉が使われ出したときは、僕自身まだ子どもが生まれる前で、あまりピンとこなかったんですよね。そういうものなのかなと思っていたけど、実際に自分で子どもを育てていて、そういう考え方に救われたことは正直あまりなくて(笑)。そんなに甘くなかったです。
育児ってやっぱり大変ですよね。まず夜泣き。数時間ごとにあるから、妻はもう泣きながら抱っこしてて。「交代するよ」って言うんだけれど、やっぱりパパじゃ寝ないんです。「あなたのやり方が悪い、それじゃ寝ないよ」と妻は言うのだけれど、だからといって正解がわからない。ようやく寝たと思って、ゆっくり布団に置くと、その瞬間にまた起きちゃう。その繰り返し。
やっと寝たと思ったら、外で酔っ払いが騒いでうちの犬が吠えて、それで娘も起きちゃったり。僕もあまり寝られないまま仕事に行ったりすることがよくあったし、あのときはけっこう大変でしたね。でもしょうがない。みんな同じ道を通っているんだなと思って。大変だけど、それ以上に「かわいい」が勝るから。それに楽しいこともいっぱいあるし。

── 楽しさを感じるのはどんなときですか?
松陰寺さん:たとえば、保育園で歌を覚えて帰ってきて、それを娘が歌ってくれたり。保育園にお迎えに行くと、「今日こんな絵かいたよ、パパ見て!」って、言いながら駆け寄ってきたり。この前、知人と話していたとき「子育てが大変だってアナウンスが多すぎるからネガティブなイメージを持っちゃっている人が多いけど、本当ならもっと楽しいことってある。みんな言ってないだけで、子育てって楽しい」と言っていて、本当にその通りだなと思って。日常にいっぱい楽しいことがあるから、大変なことばかりじゃないと思うんですよね。