子どもたちと手作りチョコの交換「必死で作りました」

──『大きな家』で一緒に過ごした児童養護施設の子どもたちとは、今も会うことはありますか?

 

齊藤さん:実は、撮影期間よりも、今のほうが子どもたちや職員さんたちと交流できている感覚があります。撮影終了後、僕は普段の生活に戻って、以前のように行けるときに児童養護施設に通って、映画に出演していなかった子どもたちとも一緒に遊んだり、過ごしたりしているんです。

 

そのなかで、僕が独身だということをすごく心配してくれる子がいて。「とにかく誰かに出会ったらすぐ告白しなさい」ってアドバイスをもらっています(笑)。

 

── それは心強いですね(笑)。

 

齊藤さん:今年2月のバレンタインには、「手作りチョコを交換しよう」って約束して。僕、なぜか子どもたちからフルネームで呼ばれているんですけど(笑)、「齊藤工さんはホワイトチョコレートを作ってきてください」って、昨年の年末に言われて。もうネットで作り方を調べまくって、チョコレートを作りまして。

 

── おお!作ったんですね!

 

齊藤さん:そうなんです。それでバレンタインチョコの交換会の日、その子もチョコを作ってきてくれて、無事に交換できました(笑)。次は5月くらいかな。カレーを作る会が決まっていて。

 

── カレーはみんな好きですよね。

 

齊藤さん:いいですよね。施設では毎月行事があって、特にクリスマス会が本格的なんです。幼児たちからシスターや大人の職員さんたちまで総動員で出演する劇も盛大で、それも昨年、竹林監督と観に行きました。今後も観に行きたいと思っています。本当に「大きな家族」みたいな感じなんですよね。

 

齊藤工、竹林亮監督
齊藤さん(右)と竹林亮監督。映画『大きな家』を通じて、子どもたちと真正面から向き合った

── たとえば、どんな時間を過ごされていますか?

 

齊藤さん:俳優志望の子には僕の仕事の現場に見学に来てもらったり、なかにはエキストラ出演する子もいたり、映画監督を目指している女の子もいます。僕の影響というよりは、映画の撮影期間中に竹林監督たちと過ごした時間の中で、映像業界が「将来の選択肢のひとつでもある」と子どもたちが感じてくれたからでしょうか。

 

撮影中は、子どもたちにとって、プロフェッショナルな仕事をする職人のような方々と過ごした時間でもあると思っていて。実際、その方向に進んでいる子たちも何人かいるんです。僕だったら、芝居の仕事を続けてきた人間ではあるので、「自分にできることがあれば言って」と、子どもたちに話しています。とはいえ、特別扱いをするわけではなく。あとは、ドラマや映画の現場でも『大きな家』を観てくれた方たちから、「ぜひ子どもたちに見学にきてほしい」と言ってもらえることが多くて。僕の中では、子どもたちや職員さんたちとのつながりがより強くなっていると感じています。