NHK連続テレビ小説で子役として大ブレイクした斉藤こず恵さん。中学時代からは学業に専念するため芸能生活をセーブしますが、そこで壮絶ないじめを経験します。「漫画やドラマであることはひと通り経験した」と語る当時の心境は── 。(全4回中の2回)

「ブス、消えろ」

── 6歳のころ出演したNHK連続テレビ小説『鳩子の海』で注目を集め、子役として大ブレイク。ただ、中学校へ進学するころには芸能活動をセーブしたそうですね。

 

いじめにあい、芸能界引退を決めた18歳のころ
いじめにあい、芸能界引退を決めた18歳のころ

斉藤さん:学校にちゃんと行こうということで、あえて厳しい私立の中高一貫女子校を選んで通うことにしたのですが、実は中1からずっといじめにあっていました。本当に漫画やドラマで観たことがあるようないじめを、ひと通り経験したと思います。上履きに画びょうが入っていたり、財布を盗られたり、物を隠されたり、体育着が汚されたり…水泳のあと衣服がなくなっていたことも。

 

いじめって、いじめた本人は忘れてるとよく聞きますが、いじめられた側はすべて覚えてます。決して忘れることはできません。見た目のことだったり、芸能界にいたことだったり、いろんな嫉まれ要素があったみたいで「ブス、消えろ」とか「なんでお前みたいなのが女優やってられるんだよ」とかね。あとは「このあいだテレビでアイドル(男性)と会っただろ!調子にのるな」とか。もう言いがかりですよね。現場が一緒だったとしても、話もしてないし、調子にものってないわって。もうほんとに嫌になっちゃって。

 

当時のいじめは、同級生ではなく上の学年の子からのものばかりだったのですが、高校まで一貫なので、ずっと続いてしまって。メンタルは強いほうだと思っていたんですけど、十二指腸潰瘍になりました。体は助けを求めていたんでしょうね。恩師と親友たちのおかげで乗りきれました。

 

そんな目にあうと「私って何のために女優してるの?」とか「ガラリと環境を変えて誰も知らないところに行きたい!」と考え始めて…。高校を卒業した後はアメリカの大学への進学を決めたんです。

 

── 大人になってからはそういったつらい思いから解放されましたか?

 

斉藤さん:それが、大人になってからも世間からは「女優辞めたのは、太ってるからでしょ?」とか「ブスねー」とか、平気で言われたりしたんですよ。あるテレビ番組で私の過去と現在みたいな映像が出たときに、そこにいたコメンテーターの方が「どうしてこんなにひどくなっちゃったの、こんなの女優じゃないでしょ?」というようなコメントをされていて。辛口なコメントがおもしろおかしくウケるような時代でもあったんですけど、観ていて傷つくじゃないですか。

 

そしたらそのコメンテーターに対して「そんなことを言ってはダメですよ。少なくとも今、現場を離れている方で、今の目標に向かって一生懸命頑張っていらっしゃる方なんですから」と、言ってくれたのが杉本彩さん。お会いしたことはないのですが、その言葉に救われました。本当にうれしかったですね。本当に美しい人ってこういうお人柄にも出るんだなと思いました。