きっかけを作った親子とは15年経った今も交流が

── お恥ずかしながら、椅子にじっと座ることが難しかったり、ドライヤーの音が苦手だったりして、美容室に行けない子がこんなにたくさんいるとは知りませんでした。

 

赤松さん:発達障害のあるお子さん全員、髪を切ってもらうことが苦手というわけではなく、髪の毛を切ってもらうことが大好きなお子さんもいます。ただ、やっぱり知らない場所や人のところに行くと、何をされるか分からないという不安が勝る子は多いですね。お子さんはもちろん、お母さんの負担も大きいだろうと思います。

 

赤松さんは児童館で「スマイルカット」を始めたころから少しずつ子どもたちと信頼関係をつくり、親子の頼れる相手になっていった

── 赤松さんと出会ったことで、気持ちがラクになったお母さんも多いんでしょうね。

 

赤松さん:そう言っていただくこともありますね。最初に、僕が「スマイルカット」を始めるきっかけになったAくんとBくん。当時、Aくんは多動性で児童館を動き回って髪の毛だらけになって。Bくんは僕が「使わない」って約束したにもかかわらず、我慢してじっと座ってくれていたBくんに甘えて「ちょっとだけなら」とバリカンを使ってパニックを起こさせてしまった。このふたりは、それから何度か重ねるなかで髪を切ることを楽しみにしてくれるようになって。

 

ふたりのお母さんは一緒に取材を受けてくれることもあるんですけど、まあ、僕はひどい言われようですよ(笑)。「赤松さん、今はすっかり偉い人になってるけど、最初はバリカン苦手って言ったのに無理やり使って、ひどかったよなぁ」って(笑)。遠慮なくなんでも言ってくれるくらい仲よくなったからこそだと思います。いつもいろいろ協力してくださってありがたいですね。