インスタグラム「妻と金木犀(@photog_hiro)」に、高校時代から14年間撮り続けている妻の写真を投稿している写真家のハマダノブヒロさん。先日、撮り溜めた写真を動画にして投稿したところ、「愛があふれている」「素敵だ」と反響を呼びました。
彼女への気持ちを思うように言えなくて

── 高校時代から奥さんを14年間撮り続けているそうですね。撮影が始まったきっかけを教えていただけますか?
ハマダさん:きっかけは高校1年生のころ、妻とつき合い始めたことです。妻は同じクラスの保健委員だったんですが、委員になったタイミングで僕が妻の運んでるものを持ってあげたことがあって。その次の日、連絡先を急に聞かれたんです。保健委員の情報をやり取りするんだろうなと思ってアドレス交換しました。
すると、「好きな色、何?」とか「好きなアニメって何?」みたいな、委員の連絡ではない、普通のやりとりが始まって。学校で絡むことはまったくなかったんですが、家に帰ったらメールが来てメールを返すことが続いて、しばらくして告白されました。
── ハマダさんがOKして、おつき合いがスタートしたんですね。
ハマダさん:はい。でも、つき合うことになったのが周りにバレたらお互いに恥ずかしいので放課後、部活の合間に校舎の屋上付近の踊り場とか、人があまりいないところで会って静かにゲームしたり、しゃべったりして過ごしていました。
当時、妻も僕も恋愛経験がなくてうまくいかないことがありました。僕は思うように彼女への気持ちを口では言えなくて、なにか方法はないかと思って彼女の写真を撮ってみたんです。もともと写真が好きで自分のカメラを持っていたので。「かわいい」なんて口じゃ言えないので、そんな気持ちをちょっとカメラに込めて撮影した、みたいな。
そしたら、とても楽しかったんです。妻も「恥ずかしい」という気持ちはあったようなんですけど、2人しかいない空間だし、カメラや携帯のカメラでパシャパシャ撮影していました。最初は遊びの感覚でしたが2人とも心地いい時間で、そこから写真が妻へのラブレターみたいな存在になりました。
── おふたりの間で、撮影が愛情表現のひとつになったのですね。高校3年間のおつき合いから、遠距離恋愛になった時期があったそうですが。
ハマダさん:高校卒業後、僕は写真の専門学校に通ったあと地元の三重から上京することになり、3年くらい遠距離恋愛になりました。撮影は、彼女に会いに行って撮る、会いに来てもらったら撮る、という感じでずっと続けていました。
── 遠距離恋愛は大変ではなかったですか?
ハマダさん:ビデオ通話ができたので、物理的な距離を感じることはそんなになかったかもしれません。でも、クリスマスのときとか、周りが幸せそうなときに会えないのはやっぱり寂しかったです。久しぶりに会ったあとの別れ際もきつかったです。夜行バスのターミナルでちょっと泣いたりとかしました(笑)。
そんなことがあったから、デートの最後に「次、どこ行こうか」って話をして別れるようになりました。お土産をひとつ持って帰る感覚でお互いに安心感を持とう、と。その習慣は結婚した今もあるんですが、散歩とかに出かけたあとも「ここの花が咲くときにまた来よう」とか話しますね。遠距離の期間があったことによって、お互いの想いが膨らんで改めて小さい幸せも大きく感じることができたと思います。なので、僕たちのなかでは「こんな経験もあってよかったね」という感じですね。