結婚したアキラの異動に伴い、新居に引っ越した鈴。そこで待っていたのは、夢見た立派な社宅暮らしとは程遠い、木造長屋での生活でした。

 

作者の芸子さんは、元美容部員。育休中に子どもを預ける保育園を見つけることができず、職場復帰を断念した経験があります。育児中心の生活のなか、「自分が本当にやりたいこと」を自問し動き出す過程を描いた漫画「社会復帰、どーすんの?!」は、SNS上で共感の嵐となりました。芸子さんが一歩踏み出すきっかけとなったのが、「ワーキングマザー」として生きた実の祖母・鈴の生き方。

 

芸子さんが描く鈴の物語は、私たちに「やりたいことを諦めない勇気」を届けてくれます。

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「働くことを許して…」頭を下げてまで貫きたい妻の思い、しかし待っていたのは「茨の道」

 

夫のアキラに働きに出たいと申し出た鈴。

 

「だいたいどこで働くつもりだよ⁉︎」「雇ってくれる所なんてある訳ないだろ!?」という言葉を浴びせられた挙句、アキラから放たれたのは「子供のことをいちばんに考えろよ!!母親だろ!?」という辛辣な言葉でした。

 

しかし「今、あなたが死んだら?私と邦夫はどうなるの?」と鈴も静かに反論します。

 

大袈裟なことをと真剣に取り合わないアキラでしたが「人は簡単に死ぬよ」という鈴の言葉で、彼女が父親と妹を亡くしたことを思い出します。

 

「今のままの私だと何も守れないの」と語る鈴。どんな状況になっても、子供を何不自由なく育てられるようにしておくことも、親の愛だと語ります。

 

頭を下げて許しをこう鈴に押し負ける形で提案を受け入れたアキラ。しかしこれはまだ、女性が働くことが当たり前でなかった時代のこと。鈴が歩み出したのは、当時の母親にとっては茨の道だったのです。

 

PROFILE 芸子

心配性な旦那、手についた米粒を許せない長女、なんだか能天気な次女を家族に持つ、なんとかなるさ精神の芸子さん。C's Comicsから電子書籍『鈴が鳴る』(一)が好評発売中!