女優復帰が叶った今「洗濯機が回ってる48分間にセリフ覚え」

── 出産・子育てを経て、仕事への向き合い方などに変化はありますか?

 

高野さん:出産後は母親役を演じる機会が増えました。出産前も母親役を演じたことはあって、その都度、役柄を一生懸命構築してきましたが、出産後はさらに楽しめるようになった気がします。「いろんなお母さんたちがいて当たり前」と、自分がこれまで体感してきたことが活かせるから、自分の中でのお母さん像がどんどん広がっている感覚で。

 

こんなふうに、母になったことで感じる変化もあります。ただ、それよりもきっと、「自分と違う人がこんなにもたくさんいる」と思える日々の実感が、今までよりもっと広い世界をイメージさせてくれていると感じています。

 

高野志穂、松尾諭
母親役を演じたドラマの撮影の合間での1枚

あとは、セリフを覚える時間が圧倒的に少なくなったので、毎日バッタバタで(笑)。以前、関西弁のセリフを覚える必要があったときに、発音は100%マスターしたいと思って実際に声を出しながら覚えていたんですけど、近くで息子たちも聞いてるから、発音とセリフを覚えちゃって。一緒に関西弁を真似てセリフを言い出したり、ちょいちょいジャマしてくるんです。私は「違う、違う、やめてー!」みたいな(笑)。

 

ただ、そんな状況だから瞬時に集中力が発揮されるようになりました。出産前は、ファミレスとかにぎやかな場所で集中してセリフを覚えていたのですが、今はファミレスに行く時間がもったいない(笑)。だから、息子たちが学校に行った瞬間から「集中!」、洗濯機が回っている48分の間に「集中!」(笑)。そんな日々で、セリフ覚えは早くなったような気がします。

 

それと、母たちはじめ家族は私の仕事を応援してくれていて、いつもフルサポートしてくれるので本当にありがたいです。長男も、私がセリフ覚えに集中できるように、弟をお風呂に入れてきてくれたり、みんなで協力体制をつくってくれるので、本当に感謝しています。