ケンカを回避する蝶野流・魔法の言葉とは?
── 言われてみるとそうかもしれませんね。ただ、そうした行き違いがあっても、夫婦ケンカに発展しないのは、見習いたいところです。何か工夫があるのですか?
蝶野さん:一つひとつの小言を真正面から受け止めすぎないほうがいいんじゃないかなと思っています。いちいち言い返していると、火がついちゃってケンカになる。そんなときには、「でもさ、怒ってるママもかわいいよねえ」とほめる。最近覚えた方法です。
── その作戦はちょっとズルイ気が(笑)。
蝶野さん:もちろん相手が本気で怒っているときは、火に油を注ぎかねませんが、ただの小言くらいなら、ちょっと視点をズラすことでピリッとした空気が笑いに変わっていいですよ。ただ、妻には「女性はそんなことでダマされない」と言われましたけど(汗)。
── 失敗してるじゃないですか…。
蝶野さん:でも、実際に言葉にすることで暗示効果があるのか、怒っている妻の顔が本当にかわいく見えてきて、腹が立たないんです。言われた妻も、なんだかニヤッとしたりして。夫婦ケンカは、火が大きくなる前に消火するのが大事。先回りして火消しの方法を考えておくのもひとつの手ですよ。
PROFILE 蝶野正洋さん
ちょうの・まさひろ。1963年生まれ、アメリカ合衆国シアトル出身。1984年に新日本プロレスに入門し、同年デビュー。以来、数々のタイトルを獲得し、「黒のカリスマ」として人気を博した。2010年に退団。現在は、メディア出演や講演活動など多方面で活躍し、「AED救急救命」や「地域防災」の啓発活動にも尽力。アリストトリスト代表取締役。一般社団法人ニューワールドアワーズスポーツ救命協会代表理事。
取材・文/西尾英子 写真提供/蝶野正洋