蝶野正洋さんが夫婦での不妊治療を経て生まれた子どもは、はや18歳と15歳。蝶野さんの子どもへの愛しさは増すばかりで、子どもからはいじられたりお財布役になったり。仲良き家族の日常と親のあふれる思いを知るインタビューとなりました。(全4回中の1回)

先生から「精子の数が極端に少ない」と言われ

── 30代で不妊治療を経て、42歳のときに、お子さんを授かったそうですね。

 

蝶野さん:子どもは欲しかったけれど、なかなか授からなかったんです。妻が若いころ、子宮系の疾患を経験していたので、その影響なのかなと思っていたのですが、「もしかしたら俺かもしれない」と検査をしてみたら、精子の数が極端に少なかった。医師からは「漢方を飲みながら様子を見ましょう」と言われ、しばらくしてから再検査をしたら正常値に戻っていました。ずっと激しい試合をしてきたので、そうしたことが影響しているのではと言われて。とくに30代は、ほぼすべての試合に出場していたので、かなり疲労がたまっていたのでしょうね。

 

蝶野正洋と妻、長女、長男
家族4人でプロレス初観戦

その後も妊活を続けていたのですが、自分のコンディションがよくなかったりして、なかなかタイミングが合わなくて。いったんはあきらめたのですが、妻が40歳になり、最後のチャンスかもしれないと思って妊活を再開。なんとか子どもを授かることができ、ものすごくうれしかったです。

 

── 奥さんの病院にも毎回つき添われていたと聞きました。

 

蝶野さん:そもそもうちは妻がドイツ人で日本語ができなかったから、自分がサポートしなくてはいけない部分が多かったんです。なので、病院や役所には、全部つき添いましたね。

 

── その後、2人のお子さんに恵まれました。小さいころは、お子さんが病気がちで大変だったそうですね。

 

蝶野さん:子どもが2人とも小児喘息を患っていたので、小さいころはかなり大変でしたね。とくに下の子(長女)が生まれた直後、長男がネフローゼで入院したことがありました。定期的な注射の投与など、ケアしなくてはいけないことが多く、プロレスの巡業先から飛んで帰ってきたことも。仕事との両立には苦労しましたね。

 

蝶野正洋と妻
ドイツ出身のマルティーナさん。2人で始めたアパレルビジネスは今年で25年になる

フランクな親子関係「調子にのると塩対応される」

── 現在、お子さんは18歳と15歳。ご自身はどんなパパですか?

 

蝶野さん:うちは完全にママがボスで家庭の中心。序列としては、自分はかなり下のほうです(笑)。ママの小言が始まると「どうするどうする…?」と子どもたちと相談が始まり、「なおくん(長男)が悪いんだよ、ママに言われたことをやらないから」「違うよ、パパのせいだよ」と、お互いに責任転嫁したりして。妻には、「子どもが3人いる」と思われているかもしれないです(笑)。

 

── ご家族の仲のよさが伝わってきますね。お子さんとのコミュニケーションで意識されていることはありますか?

 

蝶野さん:「こうしなくては」と決めていることはないのですが、かなりフラットな関係性だと思います。縦というより、横の関係という感じで、お互いに間違っているときは指摘し合いますし、こっちが悪いときは「ごめん」と謝ります。うちは家族のコミュニケーションがすごく多いんです。子どもに学校や友だちの話を「あれってどうなった?」と聞いたり、将来のことを話したり。ただ、こっちが友だち気分で盛り上がっていると、ちょっとウザがられて、長男には「友だちじゃないし」と言われたりしますけど。

 

愛犬家の蝶野さんの家族、フレンチブルドッグのブルースくん、イングリッシュブルドッグのシャーロッテちゃん

娘は中学生になったころ、いったんパパ離れが始まって距離を置かれ、寂しさを感じていたのですが、最近またよく話しかけてくるようになって。うれしくなって「なに、どうした?」と尋ねたら、「欲しいものがある」とおねだりされました(笑)。どうやら使えるものは使おうという算段みたいです。いよいよパパ活が始まったなと、戦々恐々としています。学校帰りに「迎えに来て」とタクシー代わりにされたりしますが、飛んでいきますね。

 

── 「黒のカリスマ」の威厳はいったいどこへ(笑)。

 

蝶野さん:長男は春から遠方の大学に進むので、先日、家族でお祝いをしたんです。でも、「一緒にいられるのはあと少しってこと?」と思ったら、すごく寂しくなって、しんみりしてしまいました。でも、長男にその気持ちを伝えたら、「そうだけど?なんか心配?」と、あっさり言われましたが(笑)。