憧れは富司純子さんといつも凛としていた祖母

── 昔からお変わりないですよね。その美貌は幼少期からですか?小さいころから美少女で評判だったのでは?

 

奈美さん:それは全然なかったですね。ただ、母は本当にきれいな人でした。母の妹も美人だし、おばあちゃんもきれいで、「あの家の女の子はみんな美人さんね」って、近所の人にいわれていたくらい。学校の運動会では、先生に「お母さん今日来ますか?」と、よく聞かれたものでした。「お母さん美人よね」と、いつも言われていたので、そうなると自分もきれいでいたいって思うじゃないですか。でも、家族の中で私だけ鼻が上を向いていて、おでこが出てて、色も黒い。「みんなきれいなのに、何で悦っちゃんだけ?」って、よく言われていました。

 

── 奈美さんにとっての目標や、憧れの女性はいますか?

 

奈美さん:私の理想は自然体の美しさ。富司純子さんが好きで、昔からよく富司さんが出ているヤクザ映画を見ていました。富司さんってナチュラルで、年を重ねてもシワまで自然体の美しさがあって本当に魅力的。富司さんには一度お会いしています。パーティーで隣の席になったことがあって、ご挨拶させていただいて、もう震えました。

 

もう一人、憧れの人は私のおばあちゃん。私は子どものころおばあちゃんに育てられ、上京するまで16年間一緒に暮らしたけれど、寝間着姿を見たことがありません。きっと体調が優れないことだってあったと思うのに、いつも着物をきちんと着て、凜としてキレイな人でした。その後ろ姿を見て、「あぁ、ステキだな」って、子ども心にいつも思っていましたね。

 

PROFILE 奈美悦子さん

なみ・えつこ。1950年12月27日生まれ、奈良県出身。13歳のとき1500人の中から選出され、西野バレエ団に入団。1967年『文吾捕物絵図』(NHK)で女優デビュー。女優・歌手・タレント・コメンテーターとして数々のドラマや映画、バラエティ番組に出演し、幅広いジャンルで活躍している。

 

取材・文/小野寺悦子 写真提供/オフィスPSC