絵、金継ぎ、書道…40代はやりたいことであふれている
── いま帽子作りのほかにハマっているものはありますか?
田中さん:40代になって、絵を習い始めました。あと金継ぎとか、書道とか、いろいろチャレンジしているところです。だからいま、プライベートがすごく楽しくて忙しい(笑)。なかでもいま一番ハマっているのは、『さをり織り』。城みさをさんという方が始めた織物で、いま教室に通っています。さをり織りは色も自由だし、織り目が均一でなくても感性で織っていけて、さをり織りを極めてみたい、それでいつか帽子に生かせたらという気持ちがあって。織り上げた布を切っても大丈夫だと言われるけれど、でも、切るとバラバラになりそうで、ちょっと勇気が必要になるんですよね。もっと慣れたら裁断して、ミシンで縫って、さをり織りの帽子が作れたらいいなと思っています。
── プライベートの充実がまたお仕事にも反映されそうです。
田中さん:そうですね。若いころは芸能界の方と接することが多かったので、プライベートでどこで息を抜けばいいかわからないところがありました。でもいまは、ちょっと悩んだときに違う職業の方と話をすると、「こんな世界もあるんだな」って思えて。知らず知らずのうちにがんじがらめになっていたものが、別の角度から見るといろいろな楽しみがあると、気づかされる。そこからまた、役者の世界を違った角度から見ることができている気がします。
PROFILE 田中美里さん
たなか・みさと。1977年生まれ、石川県出身。1996年 第4回「東宝シンデレラ」審査員特別賞受賞。1997年、NHK連続テレビ小説『あぐり』のヒロインに抜擢されデビュー。その後、数々の映画、ドラマ、舞台のみならず、『冬のソナタ』のチェ・ジウの吹替えや、ナレーションなどでも活躍。bay-FM 『Morning Cruisin'』ではパーソナリティを20年以上担当。帽子ブランド『Jin no beat shi te cassie』のプロデュースも手がける。2025年1月24日に出演映画『美晴に傘を』の公開を予定。
取材・文/小野寺悦子 写真提供/アンプレ