ラジオでのひと言がきっかけとなり、2019年には帽子ブランドを立ち上げたのは、NHK連続テレビ小説『あぐり』などで人気を博した俳優・田中美里さん。やりたいことに「早い、遅いなんてない」と、気づかされるインタビューでした。(全4回中の2回)
ラジオがきっかけ「帽子会社から声がかかって」
── 2019年に帽子ブランド『ジンノビートシテカッシ』を立ち上げ、プロデュースを手がけています。きっかけは何だったのでしょう。
田中さん:ラジオ番組の企画で帽子を作る体験教室に行ったのが、そもそものはじまりでした。何度か教室に通ううちに、帽子作りにハマってしまって。あるとき、新聞の取材で「いまハマっているものを3つ教えてください」と聞かれ、「帽子作りにハマっています」と答えたのを、たまたまその帽子会社の方たちが見てくださったんです。本当にどこでどんなご縁があるかわからないですよね。
最初に「帽子ブランドのプロデュースをしてみませんか?」というお話をいただいたとき、「名前だけではなくて、時間をかけてみなさんと一緒につくっていきたい」とお願いしたら、「ぜひ」ということで、デザインから生地選びなど、いろいろ提案させていただいています。
── ブランド名は田中さんが命名されたとか。
田中さん:『ジンノビートシテカッシ』は私の地元・石川県の方言で、「のんびりしてって」という意味。ふるさとを感じられる言葉がいいなと思ってつけました。でも長すぎるのか、なかなか覚えてもらえないのが悩みです(笑)。今は「ジンノビ」と呼ばれて親しまれています。
── 今日もステキな帽子をお召しになっていますね!
田中さん:今日被っているのも『ジンノビートシテカッシ』の帽子です。帽子って取り入れるのが難しいとよく言われるけれど、ジンノビはシンプルなデザインが多いので洋服にも合わせやすく、帽子があることでコーデが決まったりもする。友人にも勧めたら「もう帽子がないと物たりない」なんて、言ってくれています。そういえばこの前、ドラマで加藤清史郎君が『ジンノビートシテカッシ』のベレー帽をかぶってくれていて。なんだかちょっとうれしかったですね(笑)。
1日中塗り絵に没頭できるタイプの子でした
── 帽子作りの楽しさって何ですか?
田中さん:生地にミシンをかけるとだんだん形ができてきて、次第に帽子になっていく。それを見て「わぁ!」って思う、あの瞬間が好き。振り返れば、小さいころからものづくりが好きでした。たとえば、塗り絵をしていたとして、みんなが飽きてどこかに遊びに行っても、私はひとりずっと最後まで塗っているようなタイプ(笑)。黙々とひとりで何かに向き合うことが好きだったんだなって、いまさらながら感じています。
それと同時に『ジンノビートシテカッシ』のスタッフとの打ち合わせやディスカッションが私にとって貴重な場になっていて、一緒にものを創る魅力を感じています。両方あるからこそ、バランスがとれている気がします。