「声が変と言われたけれど」『冬ソナ』で自信が持てた
── 女優とはまた違う、声優の仕事の醍醐味とは?
田中さん:はじめて自分の声でアテレコをしたとき、チェ・ジウさんの表情がまたちょっと違って見えた気がして、なんだかすごく不思議な感覚でした。私の声だけではなく、誰かがアテレコをすると、それだけでその女優さんや俳優さんの顔つきが違って見えてくる。違う声をあてると表情まで違って見える。それがすごくおもしろいなと思って、アテレコにハマるきっかけになりました。
── 冬ソナを機に、声のお仕事も増えました。声優のほかナレーターとしても活躍されています。
田中さん:ありがたいですね。でも、もともと自分の声にちょっとコンプレックスがあって、デビューしてからはとくにそう。お芝居をしていても「もうちょっとふつうの声を出して」「もう少し落ち着いた声を出して」と言われることもありました。でも、チェ・ジウさんの声を担当してから、少しずつ「いい声だね!」と言ってくださる方が増えて、私自身もこれでいいんだって思えたというか…。みなさんに自信を与えてもらえた、そんな機会でもありました。
PROFILE 田中美里さん
たなか・みさと。1977年生まれ、石川県出身。1996年 第4回「東宝シンデレラ」審査員特別賞受賞。1997年、NHK連続テレビ小説『あぐり』のヒロインに抜擢されデビュー。その後、数々の映画、ドラマ、舞台のみならず、『冬のソナタ』のチェ・ジウの吹替えや、ナレーションなどでも活躍。bay-FM 『Morning Cruisin'』ではパーソナリティを20年以上担当。帽子ブランド『Jin no beat shi te cassie』のプロデュースも手がける。2025年1月24日に出演映画『美晴に傘を』の公開を予定。
取材・文/小野寺悦子 写真提供/アンプレ