フットボールアワーや麒麟などの人気芸人を抑え、2006年に第6回M-1王者に輝いたチュートリアルの福田充徳さん。優勝で仕事の環境が一気に変わると、5歳のころからの幼馴染である相方・徳井義実さんとの関係にも変化が生じ始め── 。(全4回中の1回)
M-1獲得後に「またダメだった」日々の連続
── 2006年のM-1優勝によって、一気に仕事や生活環境が変わったと聞いています。改めて優勝したときの心境はいかがでしたか?
福田さん:うれしいというよりホッとした感じ。今までいろいろな賞レースに出て2位はあっても、1位になったことがなくて。しかも、みんなが認めてくれるネタって1年になんぼもできないんですよ。だから数本ストックしておいて、自分らが勝負するタイミングで出すのがいいと思うんやけど、それがようやくうまくいったのかな。
M-1取った翌日から、子どものころからテレビで観ていたタモリさんやさんまさん、ダウンタウンさんと突然、一緒に仕事をするようになって。あまりの環境の変化に驚きました。
── 東京の番組出演も一気に増えたそうですが、プレッシャーはありましたか?
福田さん:実は東京と大阪の番組ってあまりにも違うんですよ。大阪だと若手芸人のロケ番組とかで、食べたものの感想を言うみたいなことは結構あるんです。でも東京のバラエティ番組みたいにトークメインで自分のエピソードを話すって、あんまないんですよ。
そもそも「この前乗ったタクシーの運転手さんが…」みたいなおもしろエピソードってそんなに生まれへん。M-1後の忙しい状況だと余計に。なのに、番組の収録前にこうしたエピソードに関するアンケートもすごいあって。今までのストックで何があったかなっていうのを一日中、記憶を探るような毎日でした。
── かなり多忙を極めた時期もあったかと思います。仕事自体は楽しめましたか?
福田さん:当時は全然、楽しくなかったです。大阪時代から「この番組に出たいな」とかずっと思ってたのに、いざその仕事が始まるとプレッシャーもあるし、あんまりうまいことできなかったな。でも、次の日も朝から大きな仕事が入っていて、振り返る余裕がない。「またダメだったな」っていうのの連続でしたね。
── 相方の徳井さんとの関係性はいかがでしたか?
福田さん:M-1取って東京出てちょっとしてから仲良くなかったというか、ピリついた時期がありました。単純に今までとくらべものにならないくらい、朝から晩までずっと一緒にいるんですよ。お互いうまいこといってないのがわかるし、相手のせいではないけど、「なんとなくこうして欲しかった」「なんでこれ言われなきゃあかんねん」とか。相手もよかれと思って言ってるんですけど、ささいなことでお互い腹立ってたと思いますね。楽屋では同じ部屋にいてもまったくと言っていいほど会話なかったんちゃうかな。
もともと、徳井は楽屋でしゃべるタイプじゃなくて。仲悪いときも、コンビで掴み合いとか言い合いはなかったけど、冷戦みたいなのがずっと続いてましたね。
── 福田さんは、何かストレスを感じたときに相手に言う方ですか?
福田さん:いっさい言わないです。心の中で溜めて、よそで不平不満を言うから(笑)。ただ、『しゃべくり007』が2008年に始まって、少し経ってからですかね。くりぃむしちゅーさんやネプチューンさんたちが楽屋で楽しそうにしゃべっている姿を見て、コンビでもしゃべった方がいいんかなって。そのあたりから少しずつ、また元のように戻っていったような気がします。