結婚したアキラの異動に伴い、新居に引っ越した鈴。そこで待っていたのは、夢見た立派な社宅暮らしとは程遠い、木造長屋での生活でした。
作者の芸子さんは、元美容部員。育休中に子どもを預ける保育園を見つけることができず、職場復帰を断念した経験があります。育児中心の生活のなか、「自分が本当にやりたいこと」を自問し動き出す過程を描いた漫画「社会復帰、どーすんの?!」は、SNS上で共感の嵐となりました。芸子さんが一歩踏み出すきっかけとなったのが、「ワーキングマザー」として生きた実の祖母・鈴の生き方。
芸子さんが描く鈴の物語は、私たちに「やりたいことを諦めない勇気」を届けてくれます。
「だってあんた女じゃねぇか」善意の申し出に返ってきた衝撃的な「ひと言」
オーダーメイドシャツ専門店「DADDY Yシャツ」を訪れた鈴。ミシン音が鳴り響く店の奥の工房を見せてもらうと、中では2人の男性がミシン仕事をしています。
「なぁんだ新しい従業員でも来てくれたと思ったのによ〜。人手たりねぇっていくら言ったって、社長は補充してくんねぇしよ〜」と愚痴をこぼす男性。ただ、ミシンが使える人は滅多にいないため、求人を出そうにも該当する人が現れないそうです。
実家が洋品店だったため、ミシンは得意だった鈴が「私…ミシン使えますよ」と申し出たのですが、返ってきたのはあまりに衝撃的な言葉でした。
「ダメダメ。だってあんた女じゃねぇか」
まだ、当時はそういう時代だったのです。
PROFILE 芸子
心配性な旦那、手についた米粒を許せない長女、なんだか能天気な次女を家族に持つ、なんとかなるさ精神の芸子さん。C's Comicsから電子書籍『鈴が鳴る』(一)が好評発売中!