パリの左岸で自身がオープンしたバーを21年間営業

両親の反対を押しきって渡仏した石井さんは、その後、バー「マイルーム」をセーヌ川左岸のパンテオンの近くにオープン。そこに足しげく通っていたお客さんが石井さんの心をつかみ、結婚する流れに。石井さんの夫は、ローマの日本大使館で料理人をしたのち、当時パリのレストランで働いていたのだそう。「マイルーム」はとても評判がよく、その後、2007年まで営業を続けました。

 

2007年に21年間続いた「マイルーム」を閉めたあとは、16区のお弁当屋さんで6年半腕をふるい、石井さんが作るおふくろの味を求めて毎日行列ができていたほど盛況でした。

 

「そのお弁当屋さんを辞めてからは、しばらく日本に行ったり、夫が住んでいるグアドループ(カリブ海にある島でフランスの海外県)に行ったりして過ごしました。でも、グアドループにずっと住み続けるのはやっぱり難しいと思って、3週間ほどでパリへまた戻ってきたんです。その後、娘のロミの夫でメゾン キツネの創始者、ジルダ・ロアエックから『メゾン キツネがバーゲンセールをするから、手伝いに来て』と頼まれて行って以来、そのまま自然と『カフェ キツネ』で働くという流れになったんですよ」

 

現在、「カフェ キツネ ルーブル」で週4日働く石井さんの1日は、毎朝9時ころに起きて朝食をとることから始まります。仕事は午後1時からなので、余裕を持って12時ころに自宅を出ます。持病もなく元気なので、自宅から毎日バスで通勤しています。

 

仕事は午後6時まで。帰宅したら午後8時頃までテレビでニュースを観たりしてくつろいでから、夕食の支度を。おみそ汁を作って、新カブなどの野菜を漬けたり、しめさばを作ったり。食後には自分で焼いたケーキとコーヒーか紅茶を飲んでから、お風呂へ。

 

そんな石井さんの健康の秘訣は、「美味しいものが大好きだから、よく食べること」だそう。

 

石井庸子さん
マルシェから戻り、買ってきたローストチキンとラタトゥイユ、お手製のサラダでランチ

「歳を取るとお肉が苦手になるってよく聞くけれど、私は週に1回はお肉屋さんで200g くらいのフィレ肉をステーキ用にカットしてもらって、それをぺろりと食べちゃうんですよ」