40代で新たにはじめたこと

共栄学園のバレー部で活躍する長女・美空さんのために

── 子育てはまだまだ続きますが、バレー選手として全力疾走した日々は今の大友さんの中でどんな風に生きていますか。

 

大友さん:私、家族のことはすごく大好きですが、家族と離れて外で「大友愛」としてお仕事できる時間も同じくらい大好きなんです。私が現役を引退したのはもう12年も前ですが、いまだにバレーの大会やイベントに行くと「あのときの活躍、感動しました」「五輪で応援してました」など声をかけていただくことがたくさんあって。あのときの自分が誰かの心に残っていることが嬉しいし、それってずっと家の中だけにいたら感じられないことですよね。だから家族との時間を大切にしていくのはもちろん、今後はどんどん外に出て誰かの背中を押せるようなことをしていきたい。そんな風に思えるようになりました。

 

自分の中の変化としてもうひとつ、最近になってビーチバレーを始めたことも大きいです。仲良しの先輩がビーチバレーをずっとやっていて、誘われて試しにやってみたらすっごく楽しかった。趣味なんですけど、今はビーチバレーに夢中です。

 

── 元日本代表の実力があるのですから、ビーチバレーも余裕では?

 

大友さん:いえいえ。それがやってみて初めてわかったのですが、バレーボールとビーチバレーは全然違うんですよ。私のなかに染みついているインドアのバレーの考えを、ビーチバレーではいったん捨てないといけない。ボールコントロールの感覚が違うし、2対2で戦うからすぐに出番が回ってきてとにかく忙しいんです。現役のころのような動きは当然できないし、40歳を過ぎて体力も落ちてきているのに、また本気でがんばり始めた自分ってバカだなぁとも思います。でも、「できないことが悔しい」という気持ちを久しぶりに味わいながら、全力で動いて汗をかいてスッキリできる時間はすごく充実しています。

 

今は2週間に1回のペースですが、家族の時間を守りながら、そんな風に自分が心から楽しいと思える時間を増やしていきたいですね。

 

PROFILE 大友愛さん

おおとも・あい。1982年、宮城県出身。中学からバレーを始め、高校3年時には世界ユース選手権で優勝。2000年、NECレッドロケッツに入団し、翌年には全日本代表に初選出される。04年、アテネ五輪に出場。結婚、長女の出産を経て08年に復帰。ロンドン五輪で銅メダルを獲得。現在は4児の母。

 

取材・文/阿部花恵 写真提供/大友愛 撮影・衣装協力/(株)ATEYAKA