子どもがいる家庭が、もっと楽に子どもを登園させられる仕組みがあったら──。何枚使っても汚しても洗わず返していい保育園着のサブスクで起業した3児の父を取材しました。(全2回中の1回)

保育園に手ぶらで登園を

── 13年勤めていた銀行を退職し、保育園向けのサブスクで起業されたそうですね。事業内容について教えてください。

 

関原さん:保育園にお子さんを預けている方はたくさんいると思いますが、保護者は単純に子どもを連れて行って保育士さんに預けるだけではありません。園生活のなかで必要なものを毎朝、各家庭で準備してバッグに入れて持っていき、たりなくなったら補充が必要です。

 

サブスクの保育園着
洋服の製造も自社化し、オリジナルの保育園着を作っている

弊社では保育園着やお手拭き、エプロン、寝具など、保育園で必要なものを使い放題で提供していまして、在庫の管理も行って配送しています。洋服などは汚れてもそのまま戻していただいて大丈夫です。

 

── ご自身の子育て経験が起業のアイデアに繋がったと伺いました。

 

関原さん:うちは双子の男の子とその下に女の子がいるので、3人の子どもを保育園に送迎していました。子どもを預けた後、会社に出社するので自分の荷物もあります。自転車にお子さんを後ろと前に乗せて、荷物をハンドルにかけている保護者の光景をよく見かけましたし、わが家だけでなく皆さん常に急いでいるように見えました。もっとゆとりを持って保育園生活が送れたらいいなという思いで、手ぶらで楽に登園できる仕組みを目指して起業しました。

 

ナカラル代表の関原さんご家族
ナカラル代表の関原さんご家族。双子の長男、次男、長女の3人のお子さんがいる

── おむつやお手拭きのサブスクを導入している園は増えていますが、保育園着のサブスクは初めて聞きました。

 

関原さん:小さいお子さんは、食事やお漏らしなどで服を汚してしまうケースはよくあることなので、着替えにもサブスクが必要だと考えました。弊社で消毒や滅菌処理をして洗濯し、綺麗にしています。創業当初はクリーニング店に依頼しようと思っていたのですが、そうするとサービスの価格が上がってしまいます。自社でクリーニング所を作り、服の製造から洗濯、配送、園に保管する在庫の管理もすべて自社化しました。

 

従来ですと汚れた服は保育士さんが洗ったり、そのまま各家庭に戻されたりしています。持ち帰ってご家庭で洗う手間もありますし、保育士さんは「こういう理由で汚れてしまって」というふうに理由を保護者に伝えるためのやり取りが増えます。保育園着のサブスクがあることで、家庭での負担を減らすことはもちろん、保育士さんが保育に専念できる時間を増やすことも目的です。