「まる子」の2代目声優をつとめる菊池こころさん。実はレギュラー作品を担当できるようになるまで、オーディションでの挫折を何度も経験したそうで──。(全2回の2回)
「アニメの世界の向こう側」への憧れ
── 声優を志したのはいつ頃からでしたか。
菊池さん:声優というお仕事があることは知らなかったんですけど、小さいときに観ていたアニメの世界の向こう側、作り手になってみたいなという漠然とした気持ちはありました。幼稚園の頃からですね。
── 当時好きだったアニメはなんですか。
菊池さん:『ちびまる子ちゃん』『魔法の天使クリィーミーマミ』『ひみつのアッコちゃん』『姫ちゃんのリボン』です。
── 声優を目指して専門学校に入ったそうですね。
菊池さん:卒業文集などには、幼稚園の先生になりたいと書いていたと思います。声優になりたいという夢は自分のなかだけにずっと留めていました。家族にも言っていなかったんです。進路を決める際に両親に初めて伝えました。
── 専門学校の授業ではどんなことを学ぶんですか。
菊池さん:マイクを立てて、画面を見ながらアフレコをする授業などがありました。学校によって違うと思いますが、私が通っていた学校は、卒業前に事務所の方が卒業公演を観に来るんです。舞台とアニメのアフレコの様子を見てもらって、「あの子いいな」と思ったら声をかけてもらえます。私もそこで声をかけてもらいました。
── そこから声優の道が開けたんですね。今では多くの作品に携わっていますが、滑り出しは順調でしたか?
菊池さん:いえ、まったくです。オーディションに立て続けに落ちてしまったことがありますし。仕事がないときは、自分には需要がないんだなと思っていました。決して存在を否定されたわけではないんですが、「いなくても大丈夫なのかな」と思って自信をなくしていたこともあります。
── オーディションでその役が選ばれるのはひとりだけですもんね。厳しい世界ですが、どうやってモチベーションを上げていたんですか。
菊池さん:こればかりはどうしようもなくて、ただ気持ちが上がるのを待つだけでしたね。仕事で、他に何ができるかと言われたら何もできないなと思って、とにかく受けるしかないという気持ちでした。