「歌手が売れるには顔も大事」
── 歌手を目指してボイストレーニングをしていたとのことですが、そこからものまね芸人に転身したのは何かきっかけがあったんですか。
ハリウさん：ボイストレーニングの先生から、「歌手が売れるには顔も大事」という話をされました。「君は顔があんまりよくないからこの先、厳しいかもしれない」って。純粋に傷ついたんですが、自信もなかったので妙に納得してしまった自分もいました。このまま歌手を目指していても、時間の無駄なのかなと思うようになって。でも、芸能界への憧れは変わらずあったので、好きな歌を活かしてできることは何か考えて、ものまね芸人かなと思ったんです。
高校卒業のタイミングで、大学に行くかエンタメの専門学校に行くか悩んだのですが、一度は自分を試してみたいと思い、エンタメの専門学校に行きました。発声やボイストレーニング、ダンスや演技の授業もあって、幅広くエンタメの基礎を学ばせてもらいました。人の漫才を見てノートに書いたり、歌を活かしたネタをしている人をよく見たりして、勉強していましたね。
ネタを披露する授業もあったのですが、自分はしゃべりがすごく上手いわけではないので、いかに自分の武器である歌に持っていけるかというのを常に考えていました。
── 専門学校の在籍中に、今の事務所からお声がかかったそうですね。ハリウさんの代名詞とも言えるダウンタウンの浜田さんのネタはどこから生まれたんですか。
ハリウさん：事務所に入って2年目の頃、先輩たちと楽屋でカツラをつけて遊んでいたんです。たまたま、私がおかっぱのカツラを被った時に、先輩たちから「ガキ使」の「笑ってはいけないシリーズ」で女装をしている浜田さんに似てる！と言われました。「ちょっとそれで出てみれば？」と言われて、なんの準備もせずその日のステージに出てみたんです。そしたら、今までにないほどお客さんにウケて。そこから浜田さんのものまねを始めました。
── きっかけがカツラだったとは！浜田さんご本人にもお会いしたそうですね。
ハリウさん：私のものまねを受け入れてくださって、ご本人から公認もいただきました。スカジャンもいただいて、よくしてもらっています。
── 憧れだった芸能界で活躍されていますが、過去の自分にメッセージを伝えるとしたらどんなことですか。
ハリウさん：何度も挫折しそうな時があって、歌手としても、芸人としても向いていないんじゃないか、もう辞めようかと思った時期もあるんですが、貫き続けていたら叶うこともあると過去の自分には言いたいですね。近道ではなく、遠回りだったかもしれないんですが、諦めなければ夢は叶う。本当に、諦めなくてよかったと思います。
PROFILE ハリウリサさん
1993年生まれ、東京都出身のものまね芸人。抜群の歌唱力を活かし、フィリピン人の母との思い出を綴ったオリジナルソング『ヴィルマ』で歌手デビュー。
取材・文／内橋明日香 写真提供／ハリウリサ
