── 仕事の間は、お子さんはシッターさんなどに依頼しているんですか。
愛沢さん:基本、家族に見てもらっています。今後もそれが続けられるかわかりませんが、今は娘を見るのは家族か自分だけです。会社に来ている時間は、いかに効率的に仕事をするためにどうしたらいいかを常に考えて集中しています。
── 出産後、ご自身の変化を感じることはありますか。
愛沢さん:今まで気になっていたことがまったく気にならなくなりました。人間関係も含めてすごくシンプルになりましたし、人に対して求めすぎなくなったと思います。今は、成果をどう出していくかに焦点を当てています。自分の感情という部分がなくなったことも楽になりました。感情に左右されると時間も取られてしまうので、合理的にどう進めていくかという考えに変わったのは、経営者としてもよかったかも知れません。
── 母親になって、ご自身の親への思いはどう変わりましたか。
愛沢さん:すごく大切に育ててくれたんだなと思うようになりました。それと、改めて性格が似ているなと思います。子育ての上では、母親と考え方が似ていますし、仕事に対する姿勢は父親とまったく一緒なので、やっぱり親子だなと思いますね。家族への感謝の気持ちはさらに大きくなりました。
── 産後のメンタルの落ち込みなどは大丈夫でしたか。
愛沢さん:私はゼロでした。娘がよく寝るということが大きいと思います。夜も寝てくれるので寝不足にならないのは助かっています。子育てがすごく楽しいです。
── 素晴らしいですね!子育て中に悩みを抱える母親は多いです。
愛沢さん:たとえば、娘が泣いていても「どうやって泣きやませよう」とは思いません。きっと今は泣きたいのかなと思って、そんなときもあるよね、と思うようにしています。赤ちゃんだって、ひとりの人。人のことは変えられません。もちろん愛情を注いで、環境を整えてあげることはできますし、そうしたいとは思っていますが、割と私は昔の考え方で。例えば、今は子ども向けのおもちゃもたくさん売っているのですが、そんなに必要ないんじゃないかなと思うんです。昔の人も同じように子どもを育てて、みんな大きくなっていますしね。
── 子育ての仕方などで他の方を参考にすることはありますか。
愛沢さん:子育て本なども、まったく見たことがありません。ただ、自分がしてきたことが、結果、誰かと一緒だったことはあります。何かを学んでそれを実践したわけではなく、知らず知らずにしてきたことですね。でもそれは子育てに限らず、経営のことにも言えます。啓発本なども起業したあとで読んで、「思うことは一緒だな」ということは結構あって。私にとって、すでに出ている情報は答え合わせのようなもので、誰かの方法を真似する必要はないと思っています。
── かっこいい!聞いていて気持ちがいいです。
愛沢さん:でも、参考にした方がいいことは見ますよ。離乳食の作り方は調べました。離乳食の進み具合に関しても、あまり娘が食べないときでも「私も食べたくないときあるしな」と思って、そんなに悩みません。他の人の情報を知っても、悩みが深くなるだけで解決することは少ないと思うんです。なので、解決できる悩みだけ参考にするようにしているのですが、それは仕事もプライベートでも変わらないと思います。
── 娘さんを育てるうえで、心掛けていることはありますか。
愛沢さん:私は母親から好きなことをさせてもらっていたので、私も後ろから見守るスタイルで行こうと思っています。母親は寄り添って常に一緒にいてくれたのですが、何かをしなさいと言われたことはありません。
── 愛沢さんは18歳のときに家を出て、東京に来たことからキャバ嬢人生がスタートしたそうですが、母親となってみてどう思いますか。
愛沢さん:私も同じことをされるかもしれないですね(笑)。血は変えられないので。その時になったらまた当時の自分の母親の気持ちがわかるんでしょうね。
── 働く母親として、どんな姿を見せていきたいと思いますか。
愛沢さん:どう育てていく、というより結局は自分がどう生きているかを子どもは見ていると思うので、自分の好きなことをしている姿を見せるのが大切だと思っています。誠実に、まっすぐ一生懸命頑張っていくだけですね。子どもを産んだからと言って、急に母親になれるわけではないですし、自分の人生をどう生きていくかが、結果、子育てにつながるのではないかなと思っています。
PROFILE 愛沢えみりさん
1988年神奈川県横浜市生まれ。(株)VOYAGE代表取締役。元歌舞伎町No.1キャバ嬢、『小悪魔ageha』専属モデル。インフルエンサー歴13年で総フォロワー数は200万人以上。
取材・文/内橋明日香 写真提供/愛沢えみり