ドラマ『のだめカンタービレ』で演奏するほか『NEWS ZERO』でもキャスターも務めたヴァイオリニストの宮本笑里さん。華やかな活動の裏で父にはいつも気を張っていたと言います(全3回中1回)。

箸の持ち方がなってない!

── 宮本さんはヴァイオリニストとして活躍し、ドラマ『のだめカンタービレ』のオーケストラにも参加されていたそうですね。

 

宮本さん:2007年アルバム「smile」のデビュー前に参加させていただきました。ドラマ内で演奏していたほか、俳優の永山瑛太さんと水川あさみさんに、ヴァイオリンの構え方や弾き方を指導させていただいたんです。おふたりとも教えたことを飲み込む力が本当に素晴らしくて 。勘が鋭くて驚きましたね。

 

また、デビュー後には報道番組『NEWS ZERO』でもカルチャーキャスターを務めさせていただき、名ギタリストのジェフ・ベックさん、オノ・ヨーコさんやレオナルド・ディカプリオさんらにインタビューをする機会もいただきました。異なる分野のプロの方々とお仕事をできる機会をいただけることに感謝しかありません。

 

── 宮本さんのお父さんは世界的オーボエ奏者・宮本文昭さんです。音楽一家で育った影響で、宮本さんも小さいときからプロになることを目指してヴァイオリンを始めたんですか?

 

宮本さん:そもそもヴァイオリンを始めたきっかけは「先生が優しそうだったから」という理由だけで、マイペースに楽しく続けていたんです。プロを決意したのは中学生のとき。父に「ヴァイオリンを辞めるのかプロを目指して続けるのかどちらかにしなさい」と選択を迫られたことがきっかけでした。

 

それから父は父ではなく先生になり、普段も敬語。何気ない話もしにくくなり、常に「師匠と弟子」状態でした。

 

── もともと普段のお父さんはどんな方でしたか?

 

宮本さん:普段は優しいしおしゃべり上手ですごく面白い人。ただ、礼儀やご飯をたべるときの作法にはすごく厳しくて小学1、2年生のときには「箸の持ち方がなってない!」とお味噌汁を掛けられたこともあります。

 

当時、父はドイツと日本を行ったり来たりしていて忙しかったので、私としては久しぶりの帰宅が嬉しくて「上手にお箸持てるようになったよ」みたいな気持ちで見せたんですけど、ダメだったんでしょうね。

 

キリッとした瞳が素敵

── レッスン時はいかがでしたか?

 

宮本さん:後にも先にも父より怖い人には会ったことがないというぐらい怖かったです(笑)。音楽に対してとにかく熱い人なので、しっかり教えてあげたいという気持ちがレッスン時に溢れ出てしまうんですよ。

 

たとえば、私の演奏のリズムがずれてくると、聞こえているのにわざわざ耳元にメトロノームを持ってきたり、本気モードに入るともう家壊れるんじゃないかと思うほど、足をどしどし踏み鳴らしてリズムをとったり。それが怖いし、思うようにできない悔しさで私がちょっとでも泣くと「泣いてる暇があったら練習しなさい!」と家中に響き渡るような大きな声で言われるのがお約束でした。

 

だけど、コンクールで結果を出せたり、いい演奏ができるたびに父の言うことは正しいんだというのを実感し、もっと上手くなりたいという気持ちに。ちなみに母は父と正反対でいつもふわふわしている人なので「お父さんはね、あなたのためを思って言ってるのよ」と優しく、おっとり言っていました(笑)。