映画『らせん』の貞子役として注目を集めた佐伯日菜子さん。現在長女は21歳、次女は20歳になりましたが、シングルマザーと仕事復帰、そして現在の状況は。(全3回中3回)

次女が予定より2か月早く生まれて

── 佐伯さんは、長女さんが21歳、次女さんが20歳と現在では2人とも成人していらっしゃいます。子育てを振り返って、年子育児はどんなことが大変でしたか?

 

佐伯さん:長女が産まれて間もなく次女を授かったんですが、長女のお世話で毎日動き回っていたせいか、ちょうど長女を抱っこしていたときに、お腹が痛いなと思い始めたらお腹の赤ちゃんが突然ずるっと下がってくる感覚があり、出産予定日の2か月前に次女が産まれました。しかも2200gと少し小さめで産まれたためしばらく保育器にいたので、長女のお世話をしながら病院を行ったり来たりと慌ただしかったですね。

 

── 休む間もなくですね。

 

佐伯さん:長女はいつもご機嫌だったので、次女もそんな感じなのかなと思っていたんですが、甘かったですね。次女は泣いてばかりで全然寝ないので、ずっと抱っこ。そしたら長女からも「私も抱っこしてほしい」とお願いが。でも、なんとなく優先順位的にどうしても年齢が下の次女の方が先になってしまうので、長女には「あとちょっとだからね」「ちょっと待ってね」ってよく言っていたのを覚えています。

 

── 誰かに頼ったりすることはできましたか?

 

佐伯さん:できればよかったんですが、私は人に頼る、お願いするのが苦手なんです。ここで「助けて!」って言えればラクなんだろうなとは思うものの、それを言って他人に迷惑かけてしまう方が苦しいって思ってしまう性格なんです。

 

でも次女が1歳になる前ぐらいで限界がきてしまったようで、電話口で私の様子がおかしいと察した母が急いで自宅まで駆けつけて、次女をそのまま預かってくれたことがありました。そのときの母は事故で体に障がいをもった兄を自宅で介護していたので「大丈夫だから!」と私もかなり遠慮したんですが、「このままじゃ共倒れになるから!」と。母も母で大変だったはずなのに「あのときは赤ちゃん預かって楽しかったわ~」って今でも言ってくれてありがたいです。

 

── その後、長女が11歳、次女が10歳のときに離婚。俳優の仕事にも復帰しましたが、仕事と子育てとの両立はいかがでしたか?

 

佐伯さん:大好きな仕事に復帰できる喜びはありましたが、離婚してしばらくは娘たちの心のケアを優先しました。次女は感情をしまい込むタイプで淡々としていたのですが、長女は思春期に差しかかっていたこともあり難しかったですね。気持ちを言葉でうまく表現できずイライラを抱えているというか、自分の心の中で飼いならせない猛獣を飼っているようなそんな状態でした。

 

その中で、小学校の先生方と密に話し合い、当時一緒に住んでいた母にも相談にのってもらいながら娘たちに向き合っていました。