夫との結婚で考えたこと

── 結婚についてどう考えましたか?

 

千種さん:私は自分の子どもが持てないことは受け入れ、それでも私と結婚してくださる方を探そうと思いました。その時期は自信をなくしていたこともあり、新しい人を探すよりもこれまで出会った人の中で探してみようと思い、そこで再会したのが今の夫です。

 

夫とは、幼稚園時代の幼なじみで、お互いの親同士が仲良かったことや歩んできた境遇も似ていたことから、連絡を取るようになりました。昔からの知り合いという安心感もあり、彼との関係はとても心地よかったです。

 

── 体のことはどのように伝えたのでしょうか?

 

千種さん:彼から付き合おうといわれたときに自分の子どもが産めないことを包み隠さず伝えました。彼がどういう反応をするか、正直不安でした。でも、彼はすぐに「子どもが欲しくてゆり子ちゃんと付き合いたいわけじゃないから」と言ってくれました。夫は子どもが欲しいという強い思いはなく、よくも悪くも私が子どもを望むかどうか、私次第だよと言ってくれます。

 

── 千種さん自身は、お子さんについてどう考えていますか?

 

千種さん:養子や海外で卵子提供を受けての妊娠も選択肢として認識はしていますが、現時点では選択肢から外しています。今は、みずからの体験を共有することで、皆さんに自分の身体に目を向けていただき、生理不順など気になることがあれば早めに婦人科を受診していただきたいと思っています。子どもを産むことももちろんですが、自分の身体に目を向けることが、一人ひとりが思うような人生を生きることにつながればと願っています。

 

また企画・プロデュースしている映画『わたしかもしれない(仮)』を通じて、誰しもが悩む可能性のある婦人科や妊娠にまつわる悩みを、知ってもらいたいと思っています。自分の体の“今”を知ることで、当たり前だと思って我慢していたことを和らげる筋道が見つかるかもしれません。様々な選択肢を持って、日々を過ごしていただけるように願っています。

 

PROFILE

1988年、埼玉県生まれ。気象予報士、防災士。2022年26歳の時に難治性の不妊症である早発閉経(早発卵巣不全)と診断されたことを公表。婦人科受診の大切さを伝えるため、映画『わたしかもしれない(仮)』をプロデュース。

 

取材・文/間野由利子 写真提供/千種ゆり子さん