5児を育てながら1年で20kgの減量に成功したにーよんさん。ダイエットの経過を発信したSNSが話題になり、書籍の出版も果たしました。忙しくても続けられる「“にーよん流”ダイエットのコツ」を聞きました。

5人の育児 “サクセス太り”で気づけば20kg増

── ダイエットを始められたきっかけは何ですか。

 

にーよんさん:きっかけは銀行のATMです。操作していたら、「画面にものを置かないでください」と表示されて。よく見たら自分のお腹がのっていました。それを機に、ダイエットを決意したんです。

 

もともと気をつけていないと太りやすい体質で。27歳で第一子を出産してから10年間、5人の子どもを妊娠するたびに太っては戻らず、また妊娠して…の繰り返し。いつの間にか体重は20kg増の68kgになっていました。

 

にーよんさん
ATMに「画面にものを置かないでください」と言われた当時のお腹

太っていた一番の原因は食生活だと思います。おいしいものが大好きで、何でも研究したくなる性格。「お店よりおいしいから揚げを作ろう」と思ったら、毎日から揚げを揚げてしまうんです。おかげで、子どもたちは全員から揚げが嫌いになりました(笑)。息を吸うようにお菓子をつまんだり、自分の食事を作るのが面倒で子どものいない昼食はお菓子で済ませてしまったりも。そりゃ太りますよね…。

 

子どもが5人もいると、家事や育児はなかなか思った通りに完了させられません。でも、食べることはすぐに完了させられる。食べるって簡単だから、一瞬で「サクセス」できるんですよね。体重が68kgになってしまったのは“サクセス太り”の積み重ねもあったと思います。

 

“サクセス太り”を克服し、子どもと笑顔で写真に収まるにーよんさん

── 食べることで「サクセス」したい気持ちはよくわかります…。

 

にーよんさん:これまでも、いろんなダイエットをしました。ファスティングや、薄めた野菜ジュースだけを飲む修業みたいなこともしましたけど、全然続かなくて。どんなに効果があるダイエットも、太っていた頃の生活に戻ればリバウンドしますし、むしろ反動で食べすぎて逆に太ってしまう。

 

「ダイエットは一生続けなければいけない」ということを悟って、ちょっと絶望しましたね。

 

でもそこで「じゃあ、一生続けられることを選んでやればいい」と脳を切り替えたんです。どうすれば痩せるのかを調べるうちに、「バランスのいい食事と適度な運動」に行きつきました。それって小学生の頃から言われている当たり前のことですけど、結局はそれしかない。生活習慣を変えるしかないんですよね。

ダイエット宣言から5日間で体型を変えたコツ

──「バランスのいい食事と適度な運動」はダイエットの真髄ですが、続けるのは難しいですよね。どうして続けられたのでしょう。

 

にーよんさん:Instagramでダイエットを公開したんです。自撮りした全身の写真を載せて、「#100日後に痩せるデブ」というハッシュタグを付けて投稿しました。

 

勇気はいりましたけど、自分の性格では「見られていないと絶対に続かない」とわかっていたので。フォロワーさんに公開することで「絶対に痩せなきゃいけない状況」をつくろうと思いました。

 

実は、100日後に「痩せる」以外にもうひとつ目標を立てていました。「Instagramのフォロワーを1万人に増やすこと」です。

 

私は営業の仕事をしていたのですが、何年も育休が続いて収入が減り、子どもも5人になり、外で働くのが難しくなってしまいました。「こうなったら自分で収入を得るしかない」と、ブログやYouTubeでいろいろと発信をしてみたのですが、なかなか思うようにはいかなくて…。

 

「100日後に痩せる」と宣言すれば、100日後を期待してたくさんの方にフォローしてもらえるんじゃないかと思いました。

 

── 具体的には、どのように生活習慣を変えましたか?


にーよんさん:「食べる量より質を変えればいい」と気づいて、まずはスーパーで買う食材を変えました。野菜、肉、魚、豆腐など「いつでも鍋が作れる食材」を冷蔵庫に揃えておけば、バランスのいい食事がすぐに作れます。食材さえ間違えなければ、好きな味つけで自由に食べても大丈夫です。

 

購入する食材を変え、豆腐やきのこなどを冷蔵室に常備するように

料理をする時間がなくても、同じ材料で別の料理を作ったり、余った野菜で簡単な副菜を作ったりすれば時短になります。副菜はたくさん作って冷蔵室にストックしています。お腹が空いたときや、子どもたちが好きなカレーライスの日は、副菜で野菜をたくさんとるようにしています。

 

一生続けるには、「完璧を目指さない」ことも大事です。「完璧にやらなきゃ」と思っていると、ひと口お菓子を食べてしまっただけでも挫折してしまう。でも、1か月に食べる90食のうち、ヘルシーな食事が45食できていたらOKということにすれば、挫折しません。それでも絶対に体には変化が現れます。私はダイエットを宣言したあとも、ときどきママ友とランチをしたり子どものお菓子を食べたりしていましたけど、1か月で9kg痩せました。

 

── 2回に1回なら、続けられそうです。

 

にーよんさん:運動は、普段の生活の中でできる「ちりつも筋トレ」を積み重ねました。歯磨きをしながらスクワットをしたり、立っているときはお腹に力を入れる「ドローイン」をしたり、20秒でも30秒でも続けていると筋肉がついてきます。

 

「お腹にくびれがほしいな」と思ったら本で筋肉の構造を研究して、子どもを寝かしつけながら「ここの筋肉に効く運動は…」といろいろ試していました。効かせたい部位を意識して運動をするようにしていたら、体が変わっていきましたね。

 

私の場合は、5日間で体型がスッキリしました。見た目が変わるとモチベーションが上がるんです。100日後には-11kg、産後から1年後には-20kgの48kgになりました。

 

Instagramのフォロワーは、100日を少し過ぎたところで1万人を達成。1年後には10万人を超え、2年後には本を出版することができました。

 

「ダイエットしたい」と思っている人は、まずは5日間だけ続けてみてください。

 

PROFILE にーよんさん

4男1女の母。Instagramで100日間のダイエットを公開して成功し、反響を呼ぶ。著書に『ダイエット母さん、20kgの脂肪をちぎり捨ててみた。』(KADOKAWA)。Instagramのアカウントは@sango_diet24。

 

取材・文/林優子 画像提供/にーよん